青空ペイント
母さんが死んだ。
何の前触れなく突然に
事故だった
ニュース何かでよく耳にする交通事故
まさか母さんが事故にあうなんて
実感もわかないまま
母さんは煙と共に空に上った
僕には幼稚園に通う妹がいた
「お母さんは何処に行ってしまったの」
妹の問いに戸惑いながら
「母さんはお空の雲の上に居るよ」
と答えた。
「どうやったら会えるの」
「今は会えないけど、空からいつも見ててくれてるよ」
「そんなの嫌っ今すぐ会いたい」
妹は声をあげて泣いた
そんな妹にかける言葉も見つからず
僕は妹を抱きしめ頭を撫でてあげる事しか出来なかった
それから妹は幼稚園に行くのも嫌がり
お母さん早く帰ってきてのメッセージと絵を描いた
そしてポストに身長が届かない妹は僕にポストに入れてとお願いしてくる
僕はポストに手紙を入れるフリをして妹の手を引いて家に帰る
それから毎日、妹は手紙を書いた
そして母さんからの返事を待った
「どうしてお母さんは返事をくれないの」
泣き出しそうなのを我慢しながら尋ねてくる
僕は困りながら
「そうだ、直接母さんに届けよう」
と答えた
「直接?」
「そう、直接」
僕はそう答え
大きな紙とペンキを買ってきて
庭に紙を広げた
「これなら空の上からだって見れるよ」
僕は優しく微笑んだ
「うん!!」
妹は喜んでペンキで絵を描きはじめた
絵が完成に近付いて来たころ
空が暗くなっていく事に気がついた
「こんなときに」
僕は空をにらんだ
そしてあっという間に雨は降り出した
「あっお母さんへのお手紙が」
妹は悲しい顔を浮かべ、力なくハケを落とした
雨に濡れた紙はヨレヨレになり
ペンキは滲み、雨と混じる
泣き出した妹を抱きしめながら
また何もしてやれないのか
悔しさに涙が溢れ出した
そして雨は通り雨のようでしばらくして止んだ
しかし妹の手紙はボロボロになっていた
妹の頭を撫でながら
「また書こう」
僕は妹にそういった
「うん」
妹は小さく頷いた
「くそっ」
どうしてこんなにも世界は簡単に奪っていくんだ
また溢れそうになった涙を堪えるため空を見上げた
「あっ」
空を見上げ驚いた
その声につられ妹も空を見上げる
「お母さんに届いた!!」
妹は喜び笑った
「そうだよ、届いたんだよ」
涙を拭きながら
青空をキャンバスに描かれた虹を見上げる
「きれいだね」
「うん」
そして虹の端っこはちょうど幼稚園の位置だった
「幼稚園行ってみようか」
「うん」
満面の笑みで妹は答えた
それから妹は元気を取り戻し幼稚園にもしっかり通うようになった
そして僕も新しい一歩を踏み出した。
深く考えず書いたので粗いとは思いますが、楽しんで頂けたら幸いです。