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キミへのボタン


お母さんと喧嘩をした、大切にしてたものを失くした

誰かに嫌われてた、将来が不安になった


そんな時この気持ちをどこにぶつけたらいいのか

時々分からなくなるんだ


友達も家族も誰一人として理解してはくれない

同情や共感をしてもらったところで現状は何も変わらないのに

人は寄ってたかってその二つを敬愛する


そんな泥沼化した習慣なんてなくなってしまえばいいんだ



摩擦を起こして熱を帯びた夕焼けに向かって、カラスが飛んでいく

真っ黒なその羽にこの行き場のない思いを乗せて、どうか灰にしてと願う



ごみ集積所なんてもういっぱいで入りきらないから

頭の隅っこに追いやってるはずだったたくさんの感情で

気が付いたら心はいっぱいだった



泣いたところで誰が分かってくれるというの?

辛いんだと言葉にしたところで、そのぎざぎざのボールを誰が受け取ってくれるというの?



そんな時はいつも泣いた、シャワーを浴びながら

自分自身でさえも泣いてるって分からないように泣いた



そんな時頭をよぎるのはキミの顔で声で瞳だった


「キミは分かってくれるのかな」






泣いた日の翌日は心なしか瞼が重くて腫れている

会う人会う人「ちゃんと寝なよ」って言う


そのたび「寝てるよ」って言う



でもその中で



「どうしたの?」

ってキミだけが聞いたんだ



「何かあったの?」

ってキミだけが聞いたんだ



「別に何もないよ」

って僕は言ってしまうんだけど

怒ったふりして目も合わせない僕に



「何もないならよかった」

ってちょっと寂しそうな笑顔を向ける





僕は怖いんだと思う

この辛さをキミに伝えることがさ


キミが受け止めてくれなかったらどうしようとかじゃなくて

また理解してもらえなかったと僕が思ったしまうんじゃないかってことが


僕のちょっとしか変化に気づいてくれるキミは

それだけで僕の涙の原因を流してしまうのに



キミは知らないけどね

僕の携帯からキミへボタン一つでつながるように

一生懸命設定したんだよ


僕が一人で辛さを乗り越えられなかったとき

涙が止まらなくて、胸がぎゅうっと苦しい時


キミからの「どうしたの?」が聞けるように




僕の耳に聞こえる鼓動は真ん中に僕のと隣にキミの

キミの肩を抜けてくる赤い風は僕の心の火になる



だからね

大抵の悲しみや辛さは一人で泣かずに超えていける


泣いたって誰も分かってはくれないんだ

耐えて耐えて耐えて……

抱えきれないほどの傷ができたら




もしかしたらキミへのボタンを押してしまうかもしれない


それでもいい?





読んでくださってありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

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