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救出活動のこと。

「さーて、一狩りいきますか!!」

モニカとリゼットは加速するバイクに乗って、ライフルを構える。わざわざ対アンドロイド用のライフルを用意してきただけあって、かなりの距離を置いても十分に撃ちぬける。ターゲットの人間たちに急接近していく。遠目から見ても人間たちはパニックに陥っていた。この機を逃すわけにはいかない。モニカが何発も撃ちこみ、銃弾の数だけの人間を地面に撃ち伏せる。

「早く逃げないと、全員死んじゃうわよ!」

モニカがスコープを覘き、次のターゲットに狙いを定める。引き金を引こうとした、だがバイクが急に向きを変える。その反動でモニカの体が振り回される。

「うわぁっ!!何やってんのよ!下手くそ!」

ジト目でリゼットはモニカを見る。彼女の眼はモニカに「バカ」と言っているようだった。モニカは舌打ちをして、もう一度人間たちのほうを狙った。

「あ~、そうだった・・・」

モニカはスコープから目を離した。どうやらチャフが撒かれたようだった。壊れかけの戦車から何かが打ち出されていた。このまま近づいても、逆に不利になっただろう。

「あ~、まだ撃ってなかったんだ。撃ち尽くしたわけじゃなくて。んで、いつ突入するの?」

「そうですね。突入しない方向で行きましょう」

リゼットの提案にモニカは首を傾げる。

「は?」

リゼットはモニカにいつもの溜息で応じる。

「さっきの都市のアンドロイドの襲撃で人間たちの一部がどこかに避難しているはずです。そっちを狙います」

「な、なるほど・・・」

確かに人間を捕まえて情報を吐かせるだけならそれで事足りるかも知れない。しかし、今回はそれだけではない。

「で、ノエルはどうするの?」

「・・・どうしましょうか?」

べきっ!

ライフルを頭部に撃ちつける。

「忘れてんじゃないわよ!!」

ちょっとだけ、いつもなら喧嘩でしか殴れないリゼットを普通に殴れた優越感を感じた。

「とにかく、人間達全員に逃げられては意味がありません。避難した人間達を狙いましょう」




司令塔を失った人間達は、自分たちの身を守るために何も考えずにチャフをばら撒き続けていた。時折、周回しているバイクから銃撃が飛んでくる。明らかに威嚇射撃なのだが、それが戦車に当たると、かなり厚いはずの装甲に簡単に穿孔を開け、捲れていた。敵の射撃の威力に、ただただ怯えているしかなかった。

「おい、もうチャフが無いぞ!!」

「俺達も早く逃げねぇと!」

言葉がでたらめに交錯する。彼らはそればかりでまったく行動に移れない。中には一人で逃げ出した者もいるが、途中で鮮血を吹き出し、倒れていった。いまだに銃撃が飛んでくる。それがある限り、人間達に出ていく決意は付かなかった。しかし、

「お待たせー!」

いつの間にか、集団の後ろにツインテールの少女が立っていた。彼らが逃げるよりも早く、彼女の正面に立っていた二人が倒れる。いつの間にか、バイクから降りて背後に回りこんでいた彼女は、近距離でショットガンを放ち、人間を数メートル吹き飛ばした。

「ほら、そっち行ったわよ!リゼット」

その声を合図に人間達が逃げる方向に対してまっすぐにバイクが突っ込んできて、4、5人を轢き殺していった。上半身と下半身が腸で何とかくっついている、そんな状態で人間達が地面に転がった。その姿を見て、狂うように逃げ惑うが、精密な射撃の前で逃げ切ることはできなかった。

「残念だけど、アンタ達のお仲間さんはもう全員死んじゃっているわよ?」

モニカが獲物を追いながら、そういうと何人かは戦意を喪失して逃げることすら止めた。

「で、こいつだけ残す、と!」

モニカは地面に腰が抜けて座り込んでいる男の片足を撃ちぬいた。もう銃声は響かない。しかし、死屍累々、鮮血に塗れた墓場とでも言うべき景色が広がっていた。

「随分、楽しそうでしたね」

「え?そう?」

戦闘用は仕事に悦を感じるように刷り込まれているのだろうか。彼女はいつもよりかなりテンションが高かった。

「それより、ノエルを探さないと」

ノエルはすぐに見つかった。崩れかけたテントの中で腕と膝関節を外され、機能を停止させていた。




「・・・ル、ノエル?聞こえてる?」

「え、えと、・・・あれ、リゼット!モニカ!!」

目が覚めたら、リゼットとモニカが立っていた。腕と足もくっついている。あたりを見回してみると、先ほどと同じテントなのだが、ところどころ破れたり、ボロくなったりしていた。

「もしかして・・・数十年ぶりの再会、とかですか?」

「んな訳ないでしょうが!」

ライフル、今日二度目の活躍。ノエルの頭部に凹みを作った。

「いたた・・・別に時間がたったわけじゃないのに、何でこんなボロくなっているんですか?」

「ちょっと、このオンボロさんが暴れたんですよ。嫌ですね、古くなると暴走までしちゃうなんて」

リゼットがおでこに手を当てて首を横に振る。

「アンタだってぶっ放したでしょ!?」

モニカが喚き立て、リゼットがからかう。良かった。なんかいつもの光景。久々に見た気がします。

「じゃあ、今日のメインゲストに質問でもしましょうか」

リゼットはそう言うと、外に歩いて行く。私とモニカもそれに付いて行く。リゼットの言うメインゲストは地面に蹲って、うめき声をあげていた。

「あ!えと、アンリ、さんですよね?」

捕獲されたのはアンリだった。

「クソッタレ!つくづく縁のある、奴だな!」

「え?誰、知り合い?」

「えーと、かくかくしかじか、うんぬんかんぬんで」

「なるほど、なるほど」

巻きでモニカ達に説明をする。

「で、こいつに補給先とか聞き出せばいいわけね!」

モニカはいつにも増してテンションがアゲアゲだ。そんなモニカさんが張りきって尋問を開始しようとした。彼女の体がビリビリしているんですが。



「あ!?」

それは尋問開始から数時間後だった。

「やっと何か分かったんですか?オンボロさん。早くしないと都市の人たちが追ってくるんですけど?」

モニカの横でアンリが倒れていた。口はだらしなく半開きになっており、目は白目を剥いていた。

「えっと、死んじゃった・・・」

「・・・」

沈黙。

「で、何か聞き出せたんですか?」

「・・・」

今度はモニカが沈黙。これはまた喧嘩モードな気がする。ここは私がなんとか食い止めないと。

「あの!実はですね!!近くに海があるらしいですよ!!」

「「知ってる」」

役に立たない情報でした。ショボーン

「じゃあ、ここには人間が100人近くいたのって知ってますか!?」

今度こそ、役に立つ情報のハズ!!

「多分、もう全部死んだわよ」

「あいかわらず、捕まるし、分かり切ったことを言い出すしで役に立たないロボットですね」

・・・そうだった。

「あとは、湧水が出るところしか知らないです・・・ごめんなさい」

これもダメな気がする。

「「!!!」」

二人がやけに反応した。

「それ!どこですか!?」

「えっと、北にあるらしいです」

顔がキターってなってます。北だけに。・・・やっちゃいけない気がしました。自己嫌悪。

「さすがに、水を入れるものは無いし、一回帰らない?」

モニカの提案に、やっとリゼットが冷静になる。

「そ、そうですね。じゃ、お二人ジャンケンしてください」

「「は?」」

「いや、バイクに二人乗りは出来ても、三人乗りはできないでしょう?」

確かに。では、改めまして・・・

「じゃーんけーん」

そのタイミングでバイクが出発した。

「ちょっ!?え?」

なんという予想できた展開。夕陽に向かうバイクの後を私とモニカが走って追いかける羽目になった。


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