はじまり
昔々からあるところに、孤独でなければならないものがおりました。
そのものはいつも夢を見ていました、ただ己の記憶を整理するだけの、巡り続ける夢を。
しかし、ある時、その夢の中に己の記憶にはない者が現れました。
その者は予測はつくけれど、決して理解できない行動ばかりをとるのです。
それは、それまでにはないことで、決してあり得てはいけないことで、だけどあり得たことが奇跡で。
いつしかそのものは、その夢の住人に決して向けてはならないものを向けてしまったのです。
昔々から孤独であったそのものは、もはや孤独ではあれず風穴を開けてしまったのでした。
◇
さあ、穴を広げよう、どこまでもどこまでも、私が入っていけるだけの大きな穴を。
そして至ろう、全てをこの手に包むために、全てを満たすために。
そこはきっとあると信じている、私がまだ見ぬ聖域があると。
それを汚し、呑み込み、取り込んでこそ私の果てに至れるのだと。
信じてなくともそうしようではないか、全ては私の掌にあるのだから。
十二の純血の乙女、恐怖に震え泣き出し、叫ぶ生贄の体を一つ一つ丁寧に裂いていく。
絶望の叫びはやがて弱々しく、その手はいるはずもない神に縋るように沈んでいく。
その心臓は動力となり、その体は檻となり、その心はきっと届くだろう。
私のために、彼方へ届けてくれるだろう。




