第二話:金太郎・桃太郎、最初の敗北~時を超えし友との出会い~
物語の始まり:それぞれの使命
深い山奥で育った金太郎は、怪力無双だが心優しき青年。彼は、かつて相撲を取った友である巨大な熊と、固い絆で結ばれていました。近年、遠い海の向こう「鬼ヶ島」から来るという鬼の悪行が里に及び、人々は恐怖に怯えていました。金太郎は里の平和を取り戻すべく、愛する熊と共に鬼退治を決意します。
一方、桃から生まれた桃太郎は、正義感が強く知恵も働く若者。犬、猿、雉を家来に従え、長年故郷を苦しめてきた鬼ヶ島の鬼を討伐し、平和を取り戻す使命を背負い、海を目指していました。
彼の家来たちはただの動物ではありません。古より桃太郎家に伝わる、特殊なエネルギーを宿した「獣神機」のパーツ、すなわち潜在的な巨大ロボのコアであったのです。
予期せぬ出会いと、鬼ヶ島上陸
金太郎が鬼の足跡を追い山を下りると、海辺で桃太郎一行と出会いました。互いの志を知り、力を合わせることを決意する二人。金太郎の怪力と、桃太郎の統率力、そして獣神機の潜在能力は、最強の鬼退治チームとなるはずでした。
一行が鬼ヶ島に上陸すると、想像していたような荒々しい鬼の巣窟とは異なり、島は奇妙な静けさに包まれていました。島の奥深くへと進むと、鬼たちは互いに争い、混乱している様子。そして、鬼たちの中には、奇妙な力に操られているかのように虚ろな目をした者もいることに気づきます。
彼らは、人間から奪った宝に執着することもなく、ただ負の感情をまき散らしていました。
鬼ヶ島の真の支配者、そして最初の敗北
祠の奥へ足を踏み入れると、そこには鬼の頭領らしき姿は見当たらず、代わりに巨大な水晶が脈動していました。そして、その水晶の前に佇んていたのは、全身を黒いローブに包んだ、人間とも鬼ともつかぬ「闇の支配者」。
彼こそが、鬼ヶ島の真の支配者、そしてラスボスだったのです。
「ようこそ、愚かなる勇者どもよ…」闇の支配者は嘲笑います。「私は、鬼ヶ島の鬼どもを操り、お前たちの里を荒廃させてきた者。貴様らの恐怖や絶望、そして恨みの感情が、私の力を増幅させる糧となるのだ!」
闇の支配者は、人々の負の感情を吸い上げて鬼を狂暴化させ、世界を闇で包み込もうとしていたのです。桃太郎と金太郎は、自らの正義を信じ、家来たちと共に立ち向かいます!
「桃太郎!奴を叩き潰すぞ!」金太郎は叫び、愛熊と共に突進します。
「まて金太郎!敵はただの鬼ではない!」桃太郎は警戒しますが、闇の支配者は彼らの心を蝕むような闇の波動を放ち、鬼ヶ島から湧き出る負のエネルギーで彼らを翻弄しました。
怪力無双の金太郎も、変幻自在の桃太郎一行も、その負の力の前には為す術がありませんでした。心の隙を突かれ、絆を揺るがされ、彼らはなす術なく打ちのめされていきます。桃太郎の家来たちも、その秘めたる力を発揮する間もなく、負のエネルギーに圧されて倒れてしまったのです。
「この程度か、人間よ!」闇の支配者の嘲笑が響き渡ります。満身創痍の金太郎と桃太郎は、敗北の悔しさに身を震わせ、闇の中で意識を失いかけました。
時を超えし希望、ウラシマと乙姫の登場
まさに絶望の淵に沈みかけたその時、鬼ヶ島の空に時間の歪みが現れ、そこからまばゆい光と共にウラシマと乙姫様が降り立ちました。ウラシマは、この時代に集まる強大な「負の時」のオーラを感知し、乙姫様と共に、世界の歪みを正すために駆けつけたのです。
「諦めてはなりません!希望はまだあります!」乙姫様の声が、闇に囚われた桃太郎と金太郎の意識に届きます。
ウラシマは倒れた二人と家来たちに駆け寄り、自身の「時を操る力」で、彼らから吸い取られたわずかな「時」を回復させます。同時に、乙姫様は、ウラシマが過去の戦いで得た竜宮城の力を、新たな形に変え、桃太郎と金太郎の家来たちに秘められた「獣神機」の真の力を解放するための「起動装置」を起動しました。
伝説の獣神合体ロボ「金剛桃神王」起動!
「ワン!」「キィー!」「クェーッ!」「ガオォォォ!」
乙姫様の力とウラシマの時の力が融合し、桃太郎の家来である犬、猿、雉、そして金太郎の友である巨大な熊が、まばゆい光に包まれます。彼らの体がみるみるうちに巨大化し、鋼鉄の装甲を纏った犬型、猿型、雉型、そして熊型のメカへと変形していくのです!
「桃太郎!金太郎!今こそ伝説の力を解放する時です!彼ら獣神機に乗り込み、合体してください!」乙姫様が叫びます。
「行くぞ、金太郎!」「おう、桃太郎!」桃太郎が犬型メカに、金太郎は熊型メカに乗り込みます。猿型メカと雉型メカが、彼らの指令を受け、光と共に合体していくのです。
「獣神合体、金剛桃神王!」二人の勇者の心と、四体の家来の魂が一つになった瞬間、光り輝く巨大ロボットが誕生しました!その姿は、桃の紋様を纏い、金色の装甲に身を包んだ、威風堂々たる武将のようでした。
総力戦:時と絆の力
「馬鹿な!そんな玩具で私を倒せると思うか!」闇の支配者は嘲笑いますが、金剛桃神王から放たれる圧倒的なエネルギーに、その声は焦りの色を帯びます。
桃太郎がメインパイロットとして操縦し、金太郎がその怪力でロボの動きに爆発的なパワーを与える金剛桃神王は、もはや別次元の存在となっていました。犬の「牙砲」、猿の「伸縮腕」、雉の「羽翼カッター」に加え、熊の持つ「剛腕破壊衝」が、闇の支配者の攻撃を粉砕します。
ウラシマは、金剛桃神王の外部から自身の「時を操る力」で、敵の攻撃の速度を遅らせたり、味方の回避行動を一瞬加速させたりして、戦況をサポートします、乙姫様は、竜宮城の力を使い、闇の支配者のバリアや弱点を解析し、金剛桃神王のナビゲーターとして的確な指示を送ります。
闇の支配者は、己の野望が阻まれることに激怒し、鬼ヶ島そのものから負のエネルギーを吸収し、巨大な闇の波動を放ちます。しかし、金剛桃神王はウラシマの「時の盾」でこれを防ぎ、乙姫の解析で明らかになった闇の支配者の本体に隠された「時の核」である水晶へと狙いを定めます。
「金太郎!全力だ!」「了解だ、桃太郎!」
金太郎と桃太郎は、それぞれの思いを拳に込め、金剛桃神王の必殺技「金剛・究極正義撃」を発動させます。全てのエネルギーを集中した巨大な光の拳が、闇の支配者の守りを打ち破り、その核を完全に破壊しました!
平和の訪れ、そして次なる戦いの伏線
闇の支配者が消滅すると、鬼ヶ島を覆っていた禍々しい闇は晴れ、操られていた鬼たちは正気を取り戻しました。彼らは三人の勇者と乙姫に感謝し、二度と悪さをしないことを誓いました。
奪われた宝は人々の元に戻り、故郷に平和が訪れました。役目を終えた金剛桃神王は、再び分離し、犬、猿、雉、熊は元の姿に戻っていきます。彼らは以前よりもさらに強く、桃太郎と金太郎への忠誠心も深まっていました。
「ウラシマ様、乙姫様…」桃太郎は深々と頭を下げました。「この世界の平和は、あなた方の勇気と、ともに戦ってくださった獣神機のおかげです。」
ウラシマと乙姫様は、この世界の「時」の歪みが完全に修復されるまで、しばらくこの時代に留まり、世界の安定を見守ることを決めました。彼らは、今回の闇の支配者が、かつてウラシマが戦った「時の番人」と何らかの繋がりがあることを感じ取っていたのです。
金太郎と桃太郎は、互いに固い握手を交わし、それぞれの故郷へと戻っていきました。三人と英雄と乙姫、そして伝説の金剛桃神王の物語は、時を超え、永劫に人々の心に語り継がれれることとなったのです。
つづく