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異世界帰りの勇者、RPG世界にモブ転生  作者: ヒカリ
第一章 王立学園入学 そして邂逅
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主人公パーティ(仮)と買い物


 サン、ゴン、俺の3人がパーティを組むことを決定した翌日、新たな装備品を求めて俺たちは学園街にいた。


 買取や武器防具に関わる人々が暮らしている学園内のエリアが、ここ学園街。

 魔物の買取は学園が主導しているが、他のアイテム、武器防具、アクセサリーなどはそれぞれ個人の店で販売することが許可されている。まあ、それなりの信用を得た上で学園内に入る許可を得る必要があるけれど。


「店はいくつかやっているが、あんまり賑わってねえな」


「確かに。まあ生徒も少ないしこんなもんか?」


「いやいや、2人とも流石に舐めすぎだよ。今は学園の準備期間だから学園内には僕ら1年生と数人の関係者しかいないだけ。僕らの授業が始まる頃には2、3年生が戻って来るから、放課後にはもっと賑わうことになるよ」


「あ〜〜、なんか人が少な過ぎるって感じてたけど上の学年が居ないのか。賑わってないのも仕方ないが………それなら品揃えは期待でき無さそうだな。だって客がいねえもんなあ」


 腕を組んで唸っているゴンの言う通りである可能性は高い。それにゲームでは学園街の店全般が年月が進むごとに品揃えも豊富になっていお店だったから、今店に置いてあるのは初心者用の物だけだろうと考えている。


 初心者装備じゃあ20以上のレベルがある俺たちにとっては能力不足だ。とは言えゲーム知識だけで判断するのは危険だと考えたから大人しく学園街まで着いて来たんだ。


 一度も品を見ずに帰るわけには行かない。


「でもまあ、せっかく来たんだから見るだけでもしたら良い。掘り出し物でも見つけられりゃあ儲けもんって事だ」


「そうそう、珍しい物が見つかるかもしれないしね」


「はいはい、そんなに言われなくても分かってるよ。ちょっと期待外れな気がするが、アイテムコレクターとして店と顔繋ぎしておく重要性は知っているし。」


 学園に来る前から色々集めていたようだし、そのぐらいは分かっているか。でも、確かに色々珍しい物を持っているようだが、アイテムコレクターを自称するのはやめておいた方がいいと思うぞ。



 そして、俺たち3人は昼ごはんの時間になるまで学園街をまわる事になった。


 訪れた場所はアイテム屋にアクセサリー屋、武器、防具屋、それにそれぞれの専門店などだ。


 特に<妖精の気まぐれ>と言う店は、魔法が込められた武器やアイテムなど特殊な効果を持つ物が種類を問わずに並べられており、その品揃えはゴンを唸らせた。


 この店はたまに開いて買い物が出来るようになるという、街でランダムに出てきて珍しい商品を売ってくる旅商人の役割と同じ。つまり旅商人の学園街出現バージョンという訳だ。学園内で商売するには色々な制約があるため、露店が開けないからこういう仕様になっているのだろう。


 良い物が揃っている代わりにお高めになっており、ゴンは火の魔法が込められた宝石だけしか買えなかった。かなり悔しそうな表情で、どんな手を使っても金を稼いでやるという意思を感じた。取り敢えず悪事には手を染めないでほしい。


 俺も何か欲しかったが、装備を後回しするほどの物は無かったので今回は見送ることにした。サンも、特に欲しいものはなかったみたいだ。



 昼食を寮で食べた後は学園から出て、王都へと向かう。


 学生カードが学園を囲む森を出入りするために必要となるので忘れないようにしないといけない。

 学園から出る場合は、許可証となる物がなかったら森に入る前の地点に戻されるので、外に出てしまって中に帰れなくなる事はないらしい。でも、何分間か霧で覆われた森を彷徨う事になるらしいので俺は絶対そんなヘマはせんぞ。


 2人も森を出入りするのは苦手なようだ。侵入者相手に強いのは良いが、俺たちにはもっと優しくしてほしいよ。


 多分この森は一生苦手なまま変わらないだろうが、学園の寮で暮らすようになってからも初心者の森に金稼ぎ(魔物討伐)に行っていたので、少しは慣れた気がする。

 


 森を抜けて王都へと入ると、学園街とは比べ物にならない程の賑やかさが出迎えてくれる。街も人も学園街の数100倍、数千倍の規模な分、品揃えも良いだろうが、店が多すぎて当然1日で回り切れないだろう。


「どうする?まずは何を買うか決めとかないと絶対時間切れになるぞ」


「うーん。今回はクロウが装備を買い替えたいって言ってたのが発端だし、クロウの装備を見繕うのが最優先でいいんじゃないかな?僕らは故郷でレベルに合った物を作ってもらっているから大丈夫だし」


「そうだな。それに俺はもう金がねえし、クロウのサポートにまわってやろう!」


「威張ることじゃないだろ。だが、ありがたい。それなら防具よりはまず武器を見たいな」


 俺の武器を見繕うという今日の目標を決めて、王都の街を練れ歩く俺たち。


 初心者専用ギルドとも呼ばれて馬鹿にされる王都北にある冒険者ギルド。初心者の森と王立学園の森が近くにあることが利点の立地なため、力をつけた冒険者は自然と疎遠になる。つまりここに通っている冒険者は、初心者か才能のないもの位に絞られてしまう。


 勿論、冒険者のニーズに合わせて周りに店が集まってくるため、北方面にある冒険者向けの店は必然的に初心者用の品を多く並べる事になる。そして北から東方面、次に西、南と高ランク向けの商品が売られるようになっている。


 いきなり西方向に行っても、金は高いし、性能が高すぎて使いこなせない物しか売っていないため、強くなるにつれて東方向をぐるりと通って南へ行く事になるだろう。


 ドーナツ形をした王都の冒険者街を時計回りに進む俺たち。進めば進むほどにレベルの上がる商品を尻目に、東の冒険者ギルドを目指す。


「うん、やっぱりこの辺は良いものが多いね。どうする? ギルドに入って情報収集でもする?」


 そう言ってサンが指差した方向には北よりも一回り大きい冒険者ギルドがあった。ギルドで情報収集する事で、少ない時間でなるべく良い武器や凄腕の職人と出会おうとしているのだろう。


 だから、脇目も振らず東の冒険者ギルドを目指していたんだな。だが問題もある。


「いやぁどうだろうな。冒険者(同業者)に聞いてもタダじゃ教えてくれないだろうし、教えてもらった店が良い所な保証もない。それならこの辺りを適当に見ていたほうがいいんじゃないか?」


「それって時間は大丈夫か?この辺りだけでもまあまあな店があるだろ」


「それじゃあ1時間後ぐらいにここで集まろうぜ。そんでそれぞれが見回った中で一番良さげな店に行ってみよう」


「まあ、それで良いか。買えないよりはマシだろ」


「そうだね。強くなるのが目的だし、あまり時間の余裕はないからね」


 2人の同意を得たので、それぞれ別の方向に散らばって店探しをする事になった。そして1時間程度経った頃に東の冒険者ギルド前に集合し、まずは自信満々な俺の見つけた店に行く事になった。


 勿論、俺の見つけた店はゲームで既に知っていた所で、さっき覗いてみたが俺の覚えている商品が並んでいたので、特に変わっいる所はなさそうだった。


 3人で店の中に入ると、並べられた武器や防具が照明によって照らされて宝石店かのような様々な色の輝きを放っている。


「お〜ここがクロウの見つけた店か。特殊な金属を使ったものが売ってるみたいだな」


 そう、この店は特殊な配合によって属性の付いた金属を作り出し、その特殊な金属を使って武器や防具を作っているのだ。


「あらあら、また来てくれたんですね」


「いや、また来るって言いましたよね?」


 このおっとりした感じの女性はジュエラさん。錬金術の専門家であり、鍛治師である夫が錬金術によって作った素材と金属を混ぜ合わせる事で特殊な金属を作っているらしい。

 その夫のホウテツさんは今は鍛治部屋での研究に没頭しているようだ。


 ゲームではほとんどの店が買い物ができるだけの場所で、クエストが発生したり特別な仲にはなれなかった。この店も同様で特に何かイベントがあるわけではないが、序盤に属性のついた武器が欲しいならここに行く、と言うぐらいには気に入っていた。


「全ての商品に属性が付いているなんてすごいお店だね。それで、クロウは何が欲しいんだい?わざわざここを選んだってことは、何かの属性に特化した武器が欲しいんだよね?」


「そのとおりだ。前から欲しかった物があったから、折角だし買おうと思ってな」


 そう言いながら手を伸ばしたのは水属性のついた長剣。大きさも重さも俺が前使っていたものとほとんど変わらず、能力的には上位互換と言えるだろう。


「水魔鉄の剣、か。水属性の力が弱めだから、剣に現れてる青色もちょっと薄めなんだね」


「良いのか?もっと属性の強いやつの方が良いんじゃねえか?」


「確かに属性に全振りしたやつも欲しいが、属性を弱めるほど耐久力が上がるし、水属性に耐性がある魔物ともある程度戦えるようになるから普段使いするならコレで十分だよ」


 俺の言ったように普段使いがしにくいから複数の武器を持ち運べない今、属性持ちを買うのは悪手なんだが、この辺で一番お世話になった武器屋はここなのでつい買いに来てしまった。


 まあ、なるべく序盤から属性武器を使い続けるメリットもあるし、問題は無いだろ。……多分。



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