[大幅改変中] 王立学園入学前 3 ジョブ
スカイ先生と別れた俺は、屋上から寮の1階まで降りてきた。この後は学園内を探検したいのだが、校舎に行くかそれとも………。
「うん、教会に行ってみるかな」
校舎の裏?に存在する建物がずらっと並ぶエリア。学園街などと呼ばれる場所に教会は建っている。
教会は女神に祈りを捧げる場所であり、女神教の教えを学ぶこともできる。それだけでも俺にとって重要な場所というのが分かるが、それだけでは無い。
ここでは<ジョブ>を授かる事が出来るんだ。
<職業>とはあのゴブリンファイターが就いていた様なアレのことで、ジョブに就くことでステータスが強化され、<ジョブスキル>が使用できる。
ジョブに就くには条件を達成した後、女神に祈りを捧げる必要があるんだ。
その条件としては、武器や魔法の熟練度やスキルの保持、別のジョブに就くなど様々である。
そしてジョブには自分のレベルとは別に<ジョブレベル>があり、ジョブレベルを最大まで上げることが上位のジョブに就く条件になっている場合もある。
もちろんジョブには下位、中位、上位など強さのランクが分かれており、強いジョブほど条件が難しくなってくる。
特別なスキルを持っている奴は特殊なジョブに就けるので強い奴が多い。俺も就きたいジョブがあったんだがな〜。
「おっ、着いたか。ここが教会」
校舎の裏に存在する学園街を通り、教会の前まで来る。今は街に人がいないようで、辺りはシーンと静まり返っていた。
「店も開いていないとは入学前は何かあるのか?教会にも人はいないかも知れないな。…うん、まあ入ってみるか」
ちょっと寂れた教会。キシキシと鳴る両面開きのドアを開けると、大きめの女神像が様々な色に輝くステンドグラスの前に並んでいるのが見えて、神々しい雰囲気を感じた。
そして女神像の前で祈りを捧げるシスターがいた。祈りを邪魔しないように、そっとドアを閉めて入り口付近の長椅子に座る。
気になった方もいるだろう。女神教で信仰している女神は3柱おり、戦の神アティルナ、智の神ヴィミルア、そして主神ゼラウルスである。
信託は主神ゼラウルスからしか来ないらしいが、ジョブはそれぞれの女神像の前で祈る必要があるため、他の2柱も分野ごとに信仰されている。
こういった恩恵を受けている時点で神が存在しているのは確定だろうが、俺の今の状況と関わりがあるのか?だが、ゲームでは会う事もないし、話をした事m「あの」
「ッ!?」
「ひあっ!あの、すみません急に話しかけて」
「えっ、ああいえ、こちらこそすみません。ちょっと考え込んでいまして」
つい油断を突かれてしまい、反射的に敵意が強く出てしまったようだ。怖がらせてしまうとは申し訳ないな。
「いえいえ、わざわざ待って頂き感謝いたします。もしかしてお悩みでも話されに来たのでしょうか?」
「いや今日は別の要件で、ジョブに就きたいと思っているんです」
「えっ………ジョブですか?うーん、実は私ってシスター見習いなので、修行中の身なんですよ。だからジョブに就くための手伝いは許可されていなくて………」
「なら仕方ないですね。入学後にでもまた寄りますよ」
そうだったのか。確かに、ここでジョブに就く時はお姉さん系シスターに手伝って貰っていたから気にしてなかったが、見習いっぽい人もいた気がするな。
ちょっと残念に思いながら教会を出ようと
「あうっ、あのっ!ちょっと待ってくれませんか!?」
「?なんですか?」
「あっ、えっと、私これから<ジョブの儀式>の練習をしようと思っていて。もっ、もし近くに祈ってる人がいても気づかないかも知れない…です」
「…っ……くっ、ふふふふははは」
「なっ、なんで笑ってるんですか!?」
「いやあ、ありがたいって思ってな。わざわざそんなことまでしてくれるとは」
恥ずかしがりながらこちらをチラ見してくる見習いシスター。この弱気そうな子がルールの穴を通そうとしてくるとは面白い。ちょっと期待に応えようとしすぎなのが心配だが、厚意は受け取っておこう。
まあ、もしバラたらスカイ先生でもゆすってどうにかしてやるとするか。
「それじゃあ女神様にでも祈ってみますかね」
女神像の方に向かって歩いて行くが、見習いシスターが追ってくる気がしない。振り向くとポカーンとした顔で固まっているのが見えた。
「あれ、どうしました?」
「敬語が」
「うん?あっ、そういえばさっきは馴れ馴れしすぎましたね。すみません」
「いえ!そういうわけではなくて、私まだ13歳なんです。今年で14になりますが」
「えっ、まだ13歳!?なんでこの学園に?」
「私のおじいちゃんが学園長なので、無理を言って修行先にして貰ったんです。後、別にそれはどうでも良くて、私は年下なんだから敬語じゃなくても大丈夫という話です!」
Oh、思ったよりもやばいお嬢様だったようだ。というかおじいちゃん?職権濫用では?どうでも良くないのでは?
「むしろ敬語を使わせて頂きます、お嬢様」
「も〜〜」
「ふっ、冗談だよ」
なるべく丁寧なキャラで行こうと思ってたんだが、まあ1人ぐらい素で接しても大丈夫だろう。………こういう緩みが素バレの原因となる気もするが、気にしないでおこうか。
見習いシスターと仲良くなり、無事にジョブに就かせてもらえるようになった俺は、戦の神アティルナの前で祈る。
隣から儀式のための詠唱が聞こえるが、思ったよりも長く待つことになりそうだ。
ちなみに、戦の神アティルナは物理系、智の神ヴィミルアは魔法系、主神ゼラウルスは特殊系のジョブを司っており、俺は<剣士>に就こうと思っている。
初期ジョブは熟練度を上げることで就けるようになるので、今の選択肢としては<剣士>か<水魔法士>のどちらかを選ぶしかない。個人的にはどちらにもなって、魔法剣士系統を極めるのが一番だと思っている。
「っ!これがジョブの儀式か」
「ふう、成功してよかったです」
目の前にある女神像から光の粒が現れて体の周りに纏わりつく。ほんのり温かみを感じながら、脳内に直接語り掛けられる感覚を覚えた。
いや、語り掛けられているわけではなかった。脳内に習得できるジョブが浮かんできただけだ。まあ、剣士しか選択肢はないがな。
もちろん選ぶのは剣士なので、選んだ事を強く念じる。剣士のジョブをおくれーっ!
「来た!これがジョブの力か」
レベルアップした時のように力の上限が上がるのを感じる。それに<ジョブスキル>を使えるようになった事がなんとなく理解できた。
「不思議な感覚だな。スキルもそうだが、なんとなく脳に伝わってくる」
「おめでとうございます。私も初めて受けた時は驚きました。まあ、その時はジョブが現れてくれなかったんですけど」
悲しそうに微笑む見習いシスター。そうか、ゲームでは一瞬で現れてくれるが、現実では仰々しい儀式の後だから肩透かしを喰らう事になるか。
というか俺、この子の名前を知らないから見習いシスターとしか読んでないな。
「今日はありがとう。そういや聴きそびれてたが、名前を教えてくれないか?俺はシシ・クロウだ」
「あっ、確かに。私はブライ・ド・リリィと言います。よろしくお願いします!」
丁寧なお辞儀をしてくるリリィ。そんなに深いお辞儀なんてしてこなくても………リリィ?なんかどこかでみた事がある気がする名前だが、気のせいか?何か嫌な予感がする。
「クロウさん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。少し考え込んでいてな」
ここでは集中出来そうにない。帰って考えるなり、メモするなりしておくか。




