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異世界帰りの勇者、RPG世界にモブ転生  作者: ヒカリ
第一章 王立学園入学 そして邂逅
13/24

[大幅改変中]    銅級を目指して 3 強敵


「ふうー しんどいな」


 ホブゴブリン3体を同時に倒すことは成功したが、集中力がゴリゴリ削られるのを感じる


 この世界ではスタミナ切れという概念はなく、何時間でも高いパフォーマンスを維持できる。だがそれは敵も同様である。

 しかもこっちは人数不利だから、勝つためには敵の攻撃を見切ってダメージを最小限に抑えなきゃいけない。


 そのせいで戦闘し続けると精神的な怠さを感じる。


 さっきの戦いではこれまでと違って、まともにダメージを受けてしまった。レベルはupしたけど、特にHPやMPが回復したりはせずに上がった分がプラスされるだけの様だ。


 だから今の俺の状態は


ーーー

シシ・クロウ:Lv13

HP:204/260

MP:45/60

(※表記は 現在の数値/最大の数値)

ーーー


 という感じだ。

 

 VIT(防御力)は高い方だから背中にブッ刺された時以外のチクチク攻撃ではそこまでダメージは受けてないっぽい。だが、まともに攻撃を喰らえばHP10くらい減らされそうだな。



 そして、おそらくだがこっから先はゴブリン達が大量に出現する最深部。


 さっきのように上位種が集団で襲ってくるだろうから、どれだけ早くこの集団戦に慣れるかが重要となる。


 奥へと進む中で、何度もホブゴブリンの集団が襲いかかってくるが、その度にゴブリン達による連携、槍による攻撃、仲間意識、全てを利用して戦闘を有利に進めていく。


 敵に完全に囲まれる前に木の裏に逃げ込み、敵や木の位置関係を上手く利用して分断する。

 槍による突きは受け流しさえ出来れば簡単に懐に潜り込める。

 敵を無力化した状態で引きずり回せば盾にもできるし、ぶん投げれば敵の動きを誘導できる。

 

 パターンさえ作ってしまえば、ダメージを受けることなく倒せるようになった。


 むしろホブゴブリンとしか出会わないので俺自身がホブゴブリンの集団絶対殺すマンとなり、殺戮マシーンのように無心で倒し続けてしまった。


 今もホブゴブリンをぶっ倒して何事もなかったかのように歩き出すと、周囲の変化に気づく。


「雰囲気が変わった?」


 例えるならば、さっきまでは全方位からなのに対して、今は1方向から狙われている感覚。


 俺は前世で、大体の強さを雰囲気(オーラ)として感じる修行をした事があり、その修めた力の感覚は今でも脳に染み付いているーーー前世ほどの能力は無いが。


 この力は五感を通して、敵の強さを測ったり気配や視線を感じることが出来るというもの。そして、この感覚を利用すれば強敵のいる場所というのが本能的に分かるようになるのだ。


 なんとなく不意に襲われることはないだろうと予想しているが、一応周囲を警戒しながら進む。


 だんだんと強大な個の気配に近づいていていると、そこに誘い込まれていることに気が付く。いつの間にか草の生い茂った広場に俺と奴、2つの影だけがあった。


 周りは木に囲まれているのに対してこの場所だけは一切木が生えておらず、暗い森の憂鬱な雰囲気を晴らすかのように太陽の光が降り注いでいる。


 昼を少し過ぎた頃なのだろう。ポカポカと体を暖めてくる熱を感じながら俺は、敵を見据えている。


 <ゴブリンファイター>。俺がまだなっていない<職業(ジョブ)>に就いているホブゴブリン、それがゴブリンファイターだ。魔物のくせにこんな序盤で<ジョブ>なんかに就いてんじゃねえよ。


 コイツははゴブリン種の特徴である緑色の肌を持ち、防具や武器を扱う。そして身長が160cmもあり、その身長程度の刃渡りがある全て石で出来た大剣、それを手に持っている。


 ちなみに防具は分厚い毛皮を腰巻きにしているだけだ。ホブゴブリンよりも裸の部分が多いが、その自慢の筋肉を見せびらかしたいのかもしれん。

 そう、このゴブリンはムッキムキなのである。小さいくせに俺よりも筋肉がありそうだ。


 その身体を存分に見せびらかして威嚇してくるゴブリンファイターに向かって一歩近づく。


「お前がここのボス、なんだよなァ?苦労させられた分の礼は返してやるよ!!」



 こうして戦いの火蓋が切って落とされた。



 先手必勝。一撃を喰らわせるべく敵に向かって一直線に走り出す。敵は石の大剣を上段に構え、振りかぶって待機。


 そして敵の攻撃範囲に入った瞬間、すさまじいスピードでこちらに振り下ろされる大剣。すべてが石で作られているがために、大剣のくせして刃の概念を持たぬモノ。その鈍器というべきものが迫ってくる様は、まさに重力に従い落下してくる鉄塊のようだ。


 食らえばひとたまりもないその一撃を、ステップを踏んで横に移動することで避けてーーー


「グウッ!!」


 振り下ろされた剣が地面と衝突し、引き起こされる衝撃波によって吹き飛ばされてしまう。バウンドしながら転がっているところに横薙ぎの追撃が来るが、バク転するように起き上がりながら後ろに下がることで回避。


 大剣のリーチでぶん回されたらなかなか攻めるチャンスが無いな。


 大剣による攻撃は振り回したときにスピードと遠心力が乗ることで、先端部分に直撃させた時の威力が高くなる。だからこそ、振り回される前に根元の部分で攻撃を止めてしまえばただ重いだけの荷物でしかない。


 ジグザグと蛇行しながら近づくことで狙いを定めさせず、広範囲を攻撃できる横薙ぎを誘発する。


 そして、狙い通りの横薙ぎの攻撃をして来たタイミングで懐に潜る。この時敵は一度クルッと回転しながら遠心力を利用して攻撃してくるので、回転方向に合わせて貼り付きながら相手の脇腹を切り裂く。


 すぐ反転して背中にもう一度攻撃を加えようとすると、敵が大剣を捨てたところを目撃した。


「うっ、おおっ」


 大剣を捨てて腰に携えた石のハンマーを振って来たが、少し掠りながらも後ろに回避できた。


「後ろに隠してたのかよ、小賢しいじゃねえか」


 チッ、コイツ至近距離でも戦えんのかよ。確かにアイツの就いてる<ジョブ>は斬、突、打の3つの属性適正に少し補正がかかり、ゲームではランダムな属性で攻撃して来たから色んな武器を使うってのもあり得る話か。


 ステータスは敵の方が断然上だから、大剣持たれるよりも接近戦する方が押し負けそうで厳しいな。


 睨み合い、動きがないまま数秒が経つ。そんな中俺はもう切り札を使うしかないと感じる。


「『水よ出でよ(ミズヨイデヨ)』、〈ウォーター〉」


 コップ一杯程度しかない水の塊が出現し、それを相手に飛ばす。王都に来てからも、寝る前にはMPが空になるまで鍛えた水魔法。その為の詠唱は、魔法を練習し始めた頃とは比べものにならないほど早く、滑らかになっていた。


 飛んでいく水にそこまで勢いは無いが、相手は虚をつかれたのか顔の近くで受け止めてしまって隙を見せる。


 来たあッ!!今がチャンスじゃ、攻撃、攻撃、攻撃


「ぐはあッ」


 ハンマーで反撃されて腹にクリーンヒット。痛みに耐えかねて後退しながらも、敵から視線は外さない。


 痛ってーな、ふぅ、ふぅ。


 前世で散々痛い思いをしてきたとはいえ、それはそれ。この世界でここまでの攻撃を受けたのは初めてで、集中を乱され結構な隙を晒してしまった。


 好機と見たか、大剣を拾って肩に背負う。振り下ろし前の構えのまま雄叫びを上げると、大剣から白く淡い光が溢れ出す。


「ここで〈チャージ〉だと!?」


 〈チャージ〉、それは<ジョブスキル>という<ジョブ>に就いたものが使える専用のスキルの一つ。ほとんどの前衛職で使えるようになるこの〈チャージ〉というスキルは、MPを使用して次に繰り出す一撃の威力を上げる。


 このスキルを大剣で使用されたら攻撃をまともに受けるなんてできない。どうする?見極めるんだ!!


「Guaaaaaaa!!」


 敵の振り下ろしが始まると、世界がスローモーションのように感じた。


 大体だが、敵は大剣で一番ダメージを与えれる距離を保ってスキルを発動した。つまり、この距離は敵の攻撃範囲ギリギリって事だああああ!!


 敵に背を向けて走り出すと、さっき俺がいた場所に大剣が直撃して地面を抉る。


 予想以上の大きな衝撃が起こり、地面が絨毯のように捲れると共に吹き飛ばされる。


 うおおおお!!


 コロコロコロと転がって受け身をとり、敵のいた方を見るとこちらに向かって来ている。


 もう一回怯ませるために〈ウォーター〉を放つが、敵が手で払うだけで弾け飛び、構わず前進して来た。


 はっ、〈ウォーター〉は所詮最弱魔法。簡単に壊れることなんて何回も()()済みだ。


 簡単に破られることを予期し、もう既に下がりながら詠唱を始めている。


「『水よ出でよ(ミズヨイデヨ)』『球となり(タマトナリ)』『直進せよ(チョクシンセヨ)』、〈ウォーターボール〉!」


 自分の頭ぐらいの水の球体が現れ、敵に向かって飛んでいく。先ほどと同じように手で払おうとするが、パンッと弾け飛んだ衝撃により後ろに仰け反る。


「終わりだ!!」


 接近して胴に一撃。振り返って、よろめいている身体の後頭部にもう一撃!


 大剣が力の抜けた手から落ち、地面に響く。


 そのままうつ伏せになるように倒れて何も無かったかのように消えていった。 


 戦闘終了、俺の勝ちだ。



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