096 東進17 ──基本スペック
──雨の降る中。土かまくらの中。
僕は今後について考えた。
とりあえずは、ヒー太達との魔物狩りは継続して、レベル上げに勤しもう。
物事の成否は、なんだかんだで、その人間の基本スペックに依存する。
人の評価も同様で、その人物の基本スペックに応じたものへと収斂してゆく。
この世の中で、最も大切なのは基本スペックと言っても過言ではない。
なので自身のステータスレベルを上げておくことは、極めて重要だ。
元の世界と異なり、それが比較的容易に出来るのであれば、やらない理由が見当たらない。
そして、スキルの取得も重要だ。
スッカさんが持つ【簡易錬成】、【浄化】、【料理】、【魔石融合】等のスキルを僕も覚えたい。
QOLが大きく向上する筈だ。
他人のスキルを習得可能か、今度、彼女に聞いてみよう。
それから、生活必需品も少しずつ揃えたい。
服や肌着、靴の予備が随分前から必要になっている。
スッカさんが昔やっていたと言うように、他の亜人種と物々交換を出来ないだろうか?
この森のどこかに、そんな亜人種達の集落があれば……
というかその前に、スッカさんに【簡易練成】で日用品を作ってもらえないだろうか?
そして急に立ち現れた──喫緊の課題──雨期対策をどうするか?
現状、最も優先順位の高い問題だ。
雨期の間は、どこで過ごすのが適切なんだろう? バオバブ広場まで戻った方がよいのか? それとも森の外にいい場所でもあるのか?
この問題もスッカさんに尋ねてみよう。
あれやこれやと考えるが、結局のところスッカさんに相談しよう、という結論に自然と行き着く……。
自ずと、目の前で手仕事をしているスッカさんに、意識が向かった。
……可能であれば、もうしばらくは一緒にいたい……。
今の僕にとって、彼女は無くてはならぬ存在になっていた。
もしも彼女と出会えなければ、僕はこの世界のことを何一つ知ることが出来なかっただろう。
そして、ヒト族に忌み嫌われ、あるいは敵対しながら、一生、一人で森の中で過ごす羽目になっていたに違いない。
僕は彼女に深く感謝していた。
そういえば、いつだか“仲のよかったエルフの娘の国に行きたい”、そんなことを言っていたっけ?
彼女の昔の発言が、僕の脳裏に不図過った。




