092 東進13 ──【簡易練成】2
彼女は再び、魔石の品定めを行い、【魔石融合】を発動。
出来上がった弓は先程のものより大きく、緋色の光沢を放つ立派なものになっていた。
鏃も鋭利になっており、漆黒の光を帯びている。
「おぉ。うまくいきましたね! 攻撃力も211です。先ほどの懐刀より上ですね」
そう言うと、スッカさんは口角を上げ、上目遣いに僕を見上げた。
「そうだ。アスベさん、明日は二人で狩りに行きましょう! 久しぶりに鳥が食べたいです。それにアタシも出来るものなら、もっと位階を上げたいです」
僕は“二人で”という自身の人生でエンカウントしたことのないワードに戸惑いながらも、小さく頷き、彼女に応じた。
──翌朝。
いつの間にか雨は上がっていたが、かまくらの内から樹々の隙間に目を凝らすと、泣き出しそうな灰色の雲が残っている。
今日もまた雨かもしれない。
そんなことを思いながら、かまくらの外に出てみると、スッカさんは既に起きていて、鍋を火にかけ朝御飯の支度をしていた。
彼女は僕に気が付くと、こちらを振り向き「おはようございます。ご飯作りましたよ」などと明るい調子で言ってくる……。
◇
朝ご飯にシチューのようなものを食べながら(美味しい)、彼女は思い出したように僕に訊ねた。
「そういえば、アスベさん、針と糸を持っていませんでしたか? もしよければ、分けていただきたいのですが」
「あぁ。いいですよ。何に使うんですか?」
「手拭いを作ろうと思って」
「そんなことも出来るんですね。流石、器用ですね。……それじゃあ、もし余裕があれば、自分にも一枚作って頂けないでしょうか? 前から欲しかったんです」
そんなことを言いながら、昔、何かの昆虫型の魔物が落とした針と糸を彼女に手渡す。
彼女はその場で四枚の手拭いをササっと【簡易錬成】してみせた。
スッカさんは三枚の手拭いを僕に手渡すと、残りの一枚をバンダナのようにして額にくるりと巻き付ける。
そして、僕の目を小揺るぎもせず、真っ直ぐに見据え、こんなことを言ってきた。
「アタシ……怖い、というか……見た目が、気持ち悪くないですか?」
予想だにしなかった問いたてに、僕はフリーズを余儀なくされた。




