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091 東進12 ──【簡易練成】1


 僕はスッカさんに、武器の入手方法を尋ねてみた。


「ところで……弓は……入手出来る当てでもあるんですか? どこかに物々交換を出来るような村が、近くにあるとか?」

「えーと。物々交換ではないんですけど、弓のことなら大丈夫です。自分で作れますから。材料も朝のうちに集めておいたんです」

 彼女はそう言うと、何処からともなく太めの木の枝を数本と、何かの蔓を取り出してニコリと笑う。


 そして、「見ててください」と言うなり彼女は手際よく、枝を懐刀で削ったり、蔓を引き裂いたりし始めた。


 そしてその後、枝と蔓に手をかざすと、ペールグリーンの光の空間が形成される。


 その空間を維持すること1分ばかり。

 光の中から、弓と数本の矢が現れた。


「おぉ!」

「すっごく久しぶりに【簡易錬成】をやりましたけど、ちゃんと出来ました!」

 スッカさんは出来上がった弓を手に持って、嬉しそうに破顔した。



 なるほど。鉄から剣や盾を作るなど、製造に際して多量の熱量を要するものは、スキルで作るのは無理。……だけど弓のように、作るにあたってエネルギーの投入量が少ないものなら……【簡易練成】なるスキルで作れるということか……。


 

 そこで、僕は当初の目的をハタと思い出した。危ないところだ。不思議なスキルに魅せられて、弓を作ってもらった理由を失念していた。

「そうだ。あの、一つ質問なんですが……」


「なんでしょう?」

 そう言ってスッカさんが、ほんの少し小首を傾げる。


「その弓も魔石で強化出来るんですか?」


「出来ますよ。村では大人たちがよくやっていました」



 おぉ。大量の魔石の使いどころが、ようやく見つかった。

 彼女がいれば、弓や木の棍棒などを原材料に、高品質の武器を量産出来るのでは……?



「お願いになってしまうのですが、やってみてはいただけないでしょうか?」


 そう言って、僕は地面に散らばったままになっている魔石に視線を落とすと──。

「お好きな魔石を使って下さい」



 スッカさんがほんの少しばかり目を見開いて。

「えっ、いいんですか? また失敗したら悪いですよ。魔石なんてすっごく貴重ですし……」


「全然かまいませんよ。いくらでも使って下さい。沢山ありすぎて困っているくらいですから。それに……これで、スッカさんのスキルが上達するなら、安いものです。僕もいい武器を作って欲しいので。お互いに損はないはずです」


 僕がそう言うと、スッカさんは少しの迷いを見せた後、「では、お言葉に甘えて……」と言い置いて、真剣な面持ちを作った。

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