081 東進2 ──てきぱき──【地図あり】
朝ごはんの片づけが終わると、早速大移動を開始する運びとなる。
二人してバケツリレーの要領で、せっせとかまくらの中から、荷物を外へ出していく。
ツー太はツー太で、魔法で作った土かまくらやテーブルを元の土に還していった。
見ていると本当に便利な魔法だ。自分も欲しい。
なんて思っていると、一ヵ所に集めた荷物を、壁蔵の背中に結わえる作業を、スッカさんが買って出てくれた。
以前からバオバブの皮を裂いて作りだめしていたロープを彼女に手渡す。
「うーん」彼女はそう言いながら、強度を確かめるようにして一度、ロープをぴんっと張ると「二本縒り合わせれば、なんとななるかな?」
とかなんとか言いながら、手早くロープを編んでいく。
次いで、僕が作った歪な籠にロープを取り付け、さらにロープの片側を壁蔵の前脚と後脚の付け根に結っていく。
それが終わると、四つの太い足を器用に畳んで寝そべる壁蔵の背中をよじ登り、最後は背中に跨りながら、てきぱきと籠を固定してくれた。
無駄の一切ない淀みない動き。その滑らかな動線にぼーっと見惚れる。
そんな感じのあっという間の手際の良さで、僕であれば半日は掛かりそうな作業をたった五分程度で済ませてくれた。
──時刻はまだ朝靄が色濃く残る時間帯。
ひんやりとした朝の空気が心地よい。
両手を大きく上に広げて伸びをして、胸一杯に空気を吸い込む。
森の輪郭にはまだ淡い茜色が残っていて、その景色を見ながら深呼吸を繰り返していると、頭の中が次第に澄んだような心地がしてくる。
さてと──。心の中で独り言ち。
僕たちは東に進み、一度、森を抜け出ることにした。
その後、サバンナ地帯を森沿いに反時計周りにぐるりと進み、適当な所で再び森に入ってバオバブ広場に戻る算段。
森の中を進み続ける限り、僕たちの進んだ痕跡は残る。
これを騎士団たちに辿られないためには、一度森を抜けての迂回が必要になる──そう考えた次第だ。
◇
森の中の移動は快適で、随分楽しいものだった。
先頭の壁蔵が道を切り開きながら進んでくれて……その後をコブオとコブコが、草を踏み締めながら歩いてゆく。
さらにその後にはヒー太が続く。
みんなが苦戦しそうな悪路は、ツー太が土魔法で均してくれた。
スッカさんは自身の身体能力の向上に、あらためて驚いているようだった。
少し前ならこんな森の中を一時間も歩けなかった筈だと言う。
そんな彼女と不慣れで苦手な雑談を、ぎこちなく交わしつつ、時折、木の実やキノコを採集しながら東に向かってひたすら歩く。
森の中を歩きながら、僕はスッカさんに、この世界の素朴な疑問の数々を聞いてみることにした。
文章だけでは分かりづらいと思い、この世界の地図を描いてみました。




