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080 東進1 ──懸念事項


 ──朝ごはんの席。


 スッカさんが「今日の夜は、アタシが料理をする」と言い出した。


 僕の作る原始人のような食事など、食べられたものではないということか。


 彼女は子供の頃、ここから遥か遠く離れた森の中で、他の八ツ目族と共に暮らしていたという。

 なので、幼少の頃から木の実などを採集したり、弓を使って小動物を調達していたそうで、サバイバル生活には何かと自信を持っていた。

 

 ごはんを食べたら早速狩りに出かけたい、と言い出すスッカさんを僕は慌てて制した。

 彼女に一刻も早く伝えたい、とある懸念事項を抱えていたからだ。




 ──僕はこの場所を早急に引き払う必要がある、と考えていた。


 前々日、僕たちはスッカさんらを生贄だか磔刑だかにしようとした神聖騎士団を土に埋め、剣と駱駝を奪っている。

 こちらとしては成り行き上、仕方のないことではあったが、彼らにとってはこの上ない屈辱的な出来事であったに違いない。



 この話をスッカさんにすると、彼女は驚いたような──神妙なような──怪訝なような……なんとも言えない感じで僕を見詰めた。


 騎士を四人も手篭てごめに出来るほど、僕のことが強くは見えない、ということなのか……?



 そんな彼女の表情にひっかかりを覚えるが、その本心は霧のように掴めない。

 なので一旦それは棚上げし、少々急くような気持ちで、こちらの懸念事項を彼女の前に突き付ける。


「僕は彼らが報復を行うのではないか? と恐れています」

「……」


 彼女はじっとこちらを見たまま。


「…………」

「……えぇ。もしそのようなことがあったのでしたら、この場にいつまでも留まるのは……アタシも危険だと思います」


 やや間を置いて、スッカさんの落ち着いた声音が返ってくる。


 彼女が同意してくれたことに、驚くほどに安堵している自分がいた。

 健常者の──しかも上位種に、自身の意見が肯定される。これはめったにないことだ。


 彼女が同意してくれたことに、心強さを覚えながら、僕はこの場を早急に立ち去ることを決意した。

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