077 スッカ6 ──美味しそうにも、不味そうにも
──ワニ肉が焼き上がると、スッカさんのかまくらへと向い、その入り口から声を掛ける。
「朝御飯、出来ましたよー!」
バオバブの実をくり貫いただけの粗末な器。その中には焼かれたワニの肉がゴロリと転がっている。そのおおぶりの灰色の塊には、バオバブの木の灰から作られた塩がほんの少し振られており、器の隅っこには申し訳程度にバオバブの葉が添えられていた。
まぁ……自分で作っておいてなんだけど……雑。というか、それ以前に美味しそうにはとても見えない……。
「あっ、はーい……イテテッ」
そんなことは何も知らずに、スッカさんが四つん這いになりながら、かまくらから半身を覗かせた。
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──ツー太に土の椅子とテーブルを手早く作ってもらうと、早速、朝ごはんを摂る運びに。
「「いただきまーす」」と、二人で言って。
早速、ワニ肉を頬張る。
ひたすらに固い。
味覚音痴の僕は美味しいとも不味いとも思わず、只々、ワニの肉とはこういうものなのだな、という事実を他人事のように噛み締めていた。
ヒー太やシロたち、そしてハヤナと壁蔵の方を見回すと、彼らはみな、ガツガツと美味しそうに食べている。
一方、スッカさんの方を見てみると、微妙な表情──どう表現してよいか分からない──怒っているようにも、悲しんでいるようにも、笑っているようにも、無表情にも見える──そんな様子で、ちびりちびりとワニの肉を噛み千切っていた。
その面持ちが何を意味するのか……他人の表情を読むことが苦手な僕にはイマイチ分かりかねる……。
……味わって美味しそうに食べていると言われればそうだし、我慢して不味そうに食べていると言われればそうにも見える……。
そこはかとなく感じる不安から……取り敢えずは謝罪で様子を見ることに……。
「すみません。お口に合いますか? 申し訳ないです……。こんなものしか作れなくて……」
「そんな、美味しいですよ。それより、ありがとうございました。……奴隷紋から解放されて……自由になれるなんて…………本当に……本当に良かったです……」




