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065 神聖騎士7 ──異様な光景


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 やがて日が傾き、西の空に浮かぶ雲の群が茜色に染まり始める。

 激しい暑さはないものの、空気は湿気を多分に含み、どろりと濁ったようだった。

 

 僕は騎士たちがこの地を去るまで、森の中へ身を隠すことにした。


 気に掛かることがあったからだ。


 周囲の警戒をお願いしていたハヤナが言うには────祭壇上部に人影らしきものがある、というのだ……。

 

 詳細を聞き出すと、彼女は“人っぽい”生き物が十人ほど捕らえられた状態にされている、と教えてくれた。


 昨日まで、その報告を受けていない。

 ということは、今朝がたマイケル隊長たちが祭壇上部まで連行してきたということか?


 


 ……うーん……。それにしても……“人っぽい”生き物……? どういうことだ?

 先ほどのゲイルさんたちとはまた別の人類がいる? そういうことだろうか?

 …………。



 疑問を胸の奥に抱え込みつつ、僕はツー太に頼んで、しばしの間の隠れ家として、森の中に土のかまくらを作ってもらった。


 粘り強く待っていると、太陽が森の奥に沈み込む少し前。隊長たちは土から抜け出し、ようやく出立しゅったつしてくれた。




 彼らが完全に視界から消え去るのを【遠見】スキルで、見届ける。

 その後、僕とフェネックたちは祭壇へと向かった。


 一方、ハヤナには隊長らの後を追わせ、街の位置を突き止めてもらうことにした──。

 

 どうにかして、人の世界の物資を手に入れたい。もう服もサンダルもボロボロだ……。

 それに、美味しいご飯だって食べたい……。


 文化的なものに飢えている。そんな動機もあるのだが……。



 街の場所を把握したい、本当の理由は──猜疑であり、疑懼ぎくであり、警戒だった……。



 

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 今後について様々に思いを巡らし、不安を抱え、森を抜け出て、祭壇の真下まで辿り着く。

 見上げるそれは南米の古代遺跡にあるような台形状のピラミッド。その上部には柱らしきものが立っている。




 

 そして、【気配感知】を用いると、確かに祭壇上部に複数の生命体の反応が感じられた。


 その気配の質は明らかに魔物とは異なる。かと言って、人間のそれとも微妙に違った。




 最大限に警戒しながら階段に足を掛け、一歩一歩、慎重に登っていく。


 フェネックたちは、僕の後ろに続いて、石段を跳ねるようにしてついてくる。ピラミッドの一段は高く、50センチ以上はありそうなのに、大したものだ。頼もしい。





 それにしても余計なことをしたものだ、と祭壇上部へと続く階段を上りながら、僕は後悔していた。


 あの騎士たちは所属の騎士団に戻ったら、まず間違いなく、僕のことを報告するに違いない。

 その後、大規模な捜索隊を編成し、僕を就縛しゅうばくしに来る可能性は……かなり高い筈だ……。

 神聖な場所、と思われる祭壇付近に不審者がいて、その人物に駱駝と剣を奪われたのだ。何事もない訳がないだろう……。

 

 そんなマイナス思考を頭の中で何度も反芻しながら、やがて僕らは最後の石段に足を掛けた。





 目に飛び込んだ光景は──異様──としか言いようのないものだった──。

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