表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/193

062 神聖騎士4 ──健常者上位種


 仕方がないので、ゲイルさんの元へと向かった。


 ──ゲイルさんは凛々しい表情で僕を睨みつつ、冷静に僕を観察している。

 その態度は先の二人と比較して、極めて落ち着いたものだった。



 【鑑定】によると26歳──僕より一つ年下だ。

 僕と同世代だというのに、大したものだ。


 明らかに怪しい、みすぼらしい格好をしたハゲの醜男ぶおとこに、手足を拘束されて土中に埋められ……尋問される。

 そんな異常事態に対して──少なくとも表向きは──一切動じず、冷静だ。


 僕が逆の立場なら、見苦しいまでに狼狽していただろう。失禁も辞さなさそうである。

 


 前の二人と同様に、可能な限りの丁寧さを意識しつつ、声を掛ける。

 だけど、ゲイルさんはこちらに視線を据えたまま、口を開こうとはしない。


 弱めの【プレコックス感】をかけてみると、青い瞳が微かに揺れた。

 徐々に【プレコックス感】を強めていくと、目を白黒させ始めるが、それでも暫くすると、再び僕に視線を戻す。


 大した胆力だ。


 “プレコックス感”に対する反応性は、人により様々だ。

 先にも述べた通り、トリスさんなどは感受性が高い部類なんだろう。

 

 一概には言えないが、“プレコックス感”への感受性が高い人間ほど、気が弱く、小者であることが多い。


 社畜時代を振り返るに、大層な肩書きを持ついい大人──例えば大企業の部長クラスの人間とかでも、アワアワとまごつき始める人は結構いる。

 こういう人ほど、重大な事態を前にすると、我先にと逃げ出したり……責任転嫁をしたり……いざという時に残念な姿を晒すことが多い……。


 一方、“プレコックス感”に耐性のある人ほど、優しさと度胸を兼ね備え、人をうまく御し、物事に動じにくい。

 当然ながら、そうした人ほど人間力も高く、多くの人に敬われ、慕われやすい。……そんな傾向があるように思う。



 僕の目には、ゲイルさんはリーダー的な資質に富んだ、有能な人物であるように映った。

 健常者の中における上位種のような存在だ。

 知力・体力等、各種パラメーターが平均以上で、人間性も非の打ち所がなく、多くの人々の尊敬を集めるタイプの人間。


 こうした健常者上位種は、自身の能力を鼻にかけることもないし、劣った人間を表立ってさげすむこともない。

 そして、なんら苦労することなく、仕事で成功を収めたり、趣味の分野で大成したり、人生を優雅に楽しむ。


 所謂、チート持ちと言ってもよいだろう。

 ジャミング症候群罹患者の対極ともいえる存在だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ