060 神聖騎士2 ──想定内
──神聖騎士──とやらを目の当たりにして考えた。
さて、どうしたものだろう?
皮袋から【神木の木盤】を取り出すが、メッセージは何もない。
話かけてみるか……?
僕はこの世界のことを、もっと色々と知りたかった。
ここはなんという国なのか?
近くに街はあるのか?
そこで暮らすことは可能なのか?
自分以外にも、転移してきた地球人はいるのか?
一方で、この騎士達に声を掛けることで無用のトラブルが生じることを、僕は強く恐れていた。
騎士達のレベルは3~4。一方の僕は12。
【力】は騎士達が106~142、僕は450だ。
仮に暴力沙汰になったとしても、一方的に捩じ伏せられることはないだろう……。
ヒー太たちもいるし、問題はない…………とは思う。
でも、絶対に大丈夫とは断言出来ない。
何か……対異世界人用の武器を隠し持っている……そんな可能性だってあるだろう。
それに……騒ぎになって、“この辺りに不審者が出没します!”などという注意喚起を付近一帯にされてしまえば、最悪だ。
……それこそ、この世界における社会的な死になるだろう……。
だが、今このチャンスを見送れば、こんな機会にいつ巡り会えるとも分からない……。
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散々悩んだ挙句、僕は結局、彼らに話し掛けることにした。
僕は樹の陰から表に出ると、腰を低く屈ませて……慎重に、慎重に。生い茂る草を掻き分けながら、ゆっくりと騎士たちの方へと歩みを進めた。
やがて、彼らがいる祭壇直下の少し開けた場所まで辿り着くと、胸に手を当て、静かに呼吸を2,3回。
じっと騎士のみなさんの方を見つめながら、勇気をだして、【Ignorance】と【隠密】を解除する。
その瞬間、騎士達の八つの瞳が僕へと向った。
「!!!!」
その瞳には、明瞭な警戒の色が宿っている。
だが怯むことなく、僕は彼らに声をかけた──出来る限りの穏やかさと、優しさを纏わせた声色を意識して。
「こんにちは……少し、お尋ねしてもよろしいでしょうか……?」
「不審者だっ! 捕まえろおぉぉぉぉぉぉぉぉっー!!!!!!!!」
マイケル隊長が吼えた。
僕は180度ターンして、ダッシュで逃亡。
逃げる方向は差し当たっては、僕らがやって来た方向だろうか──壁蔵が作ってくれた獣道が出来ているので走り易い。
ということで、自ずと祭壇を背にする形となる。
スミスさん、トリスさん、ゲイルさんが流れるような動作で駱駝に跨り、僕を追う。
あぁ。やっぱりこうなったか……。
珍しく、僕の想定内の出来事が生じた形だ。
僕は200メートルほど走ると獣道を離脱して、森の中に身を隠した。
そして、全力の【プレコックス感】を三人の騎士が跨る駱駝に向けて打ち放つ。
当然、駱駝は目に見えない壁に衝突したかのように急制動。
そして、スミスさんらは、慣性の法則の赴くままに、自身の身体を大きく前へと投げ出した。
次いで僕は、指示せずとも自主的に騎士たちの後を追ってくれていたフェネックたちに、念を送る。
ツー太がすかさず土魔法を行使した。
騎士たちは地面に這い蹲ったような姿勢。
彼らの両膝と両手首がずぶりと土の中に沈んでいる。
実に鮮やかな手際。頼もしい仲間を持ったものだ。
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さて、まずはスミスさんと話をしてみようか。




