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044 フェネック3 ──罪悪感が半端ない……


 ──翌朝。


 僕が期待していたレベルアップは起こらなかった。

 思うに、五匹と一人で魔物をほふっても、経験値的なものが分割されるのだろう。



 致し方ない。継続あるのみ!


 そう自分に言い聞かせ、今日も今日とて、山肌と森の境目へ。

 今度は東側に歩いてみる。

 進みながら、低レベルで安全な魔物を探し出す。



 程なくして、レベル1程度の魔物の気配を感知したので、【Hate】を使って呼び寄せる。


 地面からグロテスクなモグラのような生き物が這い出てきた。

 目が無く、体は白く、出っ歯。

 背中には針のような毛を無数に生やしている。


 なんというか……不気味な姿だ。大きさは秋田犬くらいだろうか……。

 


 “──【魔物】針デバネズミ【レベル1】──背中に針の山があるネズミ。普段は地下に住んでいる。”



 今日はヒー太達の魔法を見せてもらうことにしよう。

 【テイム】スキルのおかげで、僕らは念じるだけで互いに意志の疎通が可能になっていた。便利なスキルだ。


 まずは【Hate】を放ち、針デバネズミの注意を惹き付ける。

 デバネズミが爪と出っ歯で噛み付いたり、引っ掻いてくるが素手で軽くなす。


 今の僕のレベルであれば、レベル1の魔物など取るに足らない存在だった。


 そんな針デバネズミに対し、フリーの状態のフェネック達が攻撃を仕掛ける。


 まずはヒー太。

 右前脚に炎をまとわせ、針デバネズミの脇腹を切裂く。白い脇腹に爪あと状の焦げ目が残る。


 次はシロ。

 魔物に近づき、ヒー太が残した焦げ目をそっと撫でる。すると、その傷跡は跡形もなく消え去った。


 続いて、ツー太。

 彼は離れた位置から、土の塊を飛ばして当てた。


 次に、ミー太。

 同じく水の塊を飛ばして当てる。


 最後に、カー子。

 同じく空気の塊を飛ばしたようで、針デバネズミの脇腹にそれはぶつかり、ドンッという重い衝撃音を響かせる。


 その後も僕は手を出さず、フェネック達の攻撃を見守ることに。


 ヒー太が一際大きな炎の球を魔物に直撃させたのを皮切りに、その後は波状攻撃のように各自、爪や牙でデバネズミの柔らかそうな皮膚を切り裂いてゆく。

 ドロリとした赤黒い体液が地面に広がり、不快な血の匂いが鼻を打った……。


 思わず、顔をしかめる……。


 一方的な戦いだった。

 正直、見ていて心が痛く…………なんとも言えない罪悪感が僕の心を軋ませる。

 まるで集団リンチのような……。


 生きていくためとはいえ、正直、見ていて辛いものがある……。


 ……やがてシロがデバネズミの喉元を食い破り、魔物は青い粒子へと姿を変えた。

 粒子の中から魔石と『針一束』が現れて、パサッという乾いた音を小さく立てて地面に落ちる。


 針は裁縫針のような形状をしていた。

 

 昨日の蜘蛛の魔物が落とした『糸』と合わせて使用すれば、裁縫が出来そうだ。


 その後は、ドルーリー・オオアゲハ一匹、メタル・マンティス一匹、蜘蛛の魔物一匹、フンコロガシの魔物二匹を狩って、本日の狩りを終えることにした。

 


 この日もフェネック達は魔物をほふった後、粒子を浴びるような謎の動作を繰り返す。


 まだ高い位置にある太陽が、青い粒子をキラメかせ、その中を踊るように飛び跳ねるフェネックたちの姿はどこか神秘的だ。





 ──翌朝、そのフェネック達のレベルが一つ上がっていた。

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