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042 フェネック1 ──【テイム】スキル


 ──10日後。


 相変わらず、僕は湖への遠征と型稽古と日用品作りと餌付けの日々を過ごしていた。


 レベルはまた一つ上がり、5になっている。

 【Hate】と【プレコックス感】と【Ignorance】に関しては、スキルレベルが9まで上昇。

 


 ──そして、この日の夜。

 ようやくフェネックたちが、僕の手から直接、餌を食べてくれた……!

  


 ・

 ・

 ・



 ──そんな記念すべき日の翌朝。


 ステータスを確認すると、僕は新たなスキルを獲得していた。


 “──【テイム(レベル1)】──動物を餌付けし、飼いならすスキル。” 



 何、このラノベの主人公っぽいスキル! 


 僕の手にした魔物肉に熱心に齧りつくフェネックたちを見ながら、僕は心を打ち震わせていた。

 ハム、ハムと肉を頬張るフェネックたちの、なんと愛らしいこと!


 この世界最高! 努力が実った! そして、人に自慢できるようなスキルをようやく一つ、身に付けることが出来た……


 そんな歓喜と感動が、僕の心をじわりと満たす。

 

 

 ──ここまでくれば、後の進展は早かった。

 翌日からフェネックたちは、日没前に洞窟へやって来て、僕の帰りを待つようになり──。

 

 やがて、洞窟に住み着いて、今では僕が出かけると、後ろをチョコチョコと付いて来る。かわいい!


 僕はフェネックに一匹ずつ名前を与えた。

 名前の由来は、各々が使える魔法。


 お父さんフェネック──ヒー太(火魔法)

 お母さんフェネック──シロ(白魔法)

 子供1──ツー太(土魔法)

 子供2──ミー太(水魔法)

 子供3──カー子(風魔法)


 僕はしばらくの間、湖遠征は止めにして、森の入り口付近でフェネック達のレベル上げを行うことにした。



 ◇



 ──早速、フェネック達と森の入り口へと赴き、【気配感知】で魔物を探す。

 すぐに【ドルーリー・オオアゲハ(レベル1)】という蝶の魔物が二匹見つかる。大きさはカラスくらい。


 一匹に【Hate】をかけて、こちらにおびき寄せる。

 そして近くまで来たら、【プレコックス感】で動きを止めると──。


 次の瞬間、ミー太が地面を蹴って飛び上がり、オオアゲハの腹部に食い付いた。

 オオアゲハは必死で羽をバタバタと羽搏はばたかせるが、ミー太を引き剥がすことは叶わない。

 無残にも地面に引き倒され、腹部から緑色の体液を痛々しげに流し始める……




 ……なんというか……残酷……


 心臓をギュッと握り潰されるような……名状し難い罪悪感が、胸の内に込み上げる……




 僕はゆっくりとミー太たちの傍まで近づき、介錯するように【神木の槌】でオオアゲハの背中を軽く叩いた。

 オオハゲハが瞬時にして青い粒子となって散ってゆく。


 その直後。フェネック達が争うようにして、飛び出して、粒子を浴びるような動作をした。


 二匹目のオオアゲハを倒したときも、フェネック達は同じような振る舞いを見せた。

 

 ん? 一体、何をしているんだろう? と思ったが、深く理由は追及せず──その後、僕らは森と山肌の境い目に沿って西方向に移動しながら、次の獲物を探し始めた。

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