039 魔界の生活3 ──成功体験
──さらに時が経つこと一週間。
相も変わらず、僕は判で押したような日々を過ごしている。
僕は現在の変わり映えのない、一人で過ごす日々を気に入っていた。
会社時代の対人関係のストレスから解放されたことが、なにより嬉しい。
ジャミング症候群罹患者の“生きづらさ”の原因は……99.9%が……人間関係によるものだ。
脳の機能の異常性が他者との……社会との軋轢を生じさせる。
なので、人のいる社会から離脱出来れば、こうした問題は原理的に生じない。
僕のステータスレベルは現在4まで上がっているが、【社会性】のレベルは此処に来た時の2のままだ。
だが、他者のいない世界で生きているので、それで困ることは何もない。
他のステータス……例えば、器用さや注意力については、レベルが上がる毎に少しずつ、改善している。
最初は2しかなかった【器用】と【注意力】のステータスは、今では8になっていた。
僕は日々の生活で自身の成長を感じられることが、なにより嬉しかった。
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努力
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QOLの改善
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成長
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努力
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QOLの改善
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成長
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努力
知らぬ間に、こんな風な好循環を螺旋状に描くことが出来ている。
日々、何かを乗り越えて前に進んで行くような、確かな実感があった。
これは僕にとって生まれて初めての“成功体験”でもある。
会社のやり手社員や、街中を闊歩する美男美女の威風堂々としたあの振る舞い。
あの自信溢れる仕草や表情の裏に何があるのか、少し分かった気がした。
彼ら・彼女らは子供の頃からこうした成功体験を、山のように築き上げてきたのだ。多分。




