035 サバイバル17 ──バジリスク
新しいスキル──【隠密】【気配感知】──を発動させつつ、僕は意気揚々と湖方面に向かった。
少しすると、早速、【気配感知】に何かが掛かる。
居場所は斜め右方向の草陰で、小さな生命体だということが、なんとなく分かる。
便利なスキルだ。
【隠密】と【Ignorance】で気配を消しながら草の裏側にまわると、頭に冠状の突起があるトカゲを見つけた。大きさは三十センチ弱。
“──【魔物】バジリスク【レベル3】──トカゲのモンスター。有毒。口から毒液を飛ばす。視線が会うと数分、石化。”
この魔物は厄介だ。
今の自分では遠距離攻撃を躱しきれる自信がない。
それに数分間の石化は、どう考えても致命的だろう。
僕は安全サイドの判断を下し、バジリスクをスルーして先を急いだ。
昨日の到達地点まで辿り着くと、さらに湖方面に進路を定める。
【Ignorance】と【隠密】と【気配感知】を発動しながら、水と食料探し──5つのマルチタスク──はかなり大きな負荷だった。
なので、【Ignorance】で代用できる【隠密】を切って先を急ぐ。
所々で蔓植物から水を得て、【鑑定】スキルで食べられそうな木の実を捥いだ。
昨日は木の実なんてまるで見かけなかったが、落ち着いて探せば、存外見つかるものだった。
僕は少しずつ、この世界に順応しつつあるのかもしれない。
そんなことを思いながら、湖に向かってひたすら進む。
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やがて太陽が中天を少し過ぎた頃。
水と某かの木の実を、十分に確保することが出来ていた。
湖までの距離はまだまだありそうだが、今日は此処で引き返すことにしよう。
暗くなって、帰れなくなることだけは、絶対に避けたい。
なにより、木の音に足を引っかけて、骨折するなんてことももうごめんだ。
僕は慎重に回れ右して、踵を返した。
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