033 サバイバル15 ──ドロップ品
森の奥の闇から生ぬるい風が吹いてきて、僕の薄い前髪を真横に流す。
心臓が早鐘のように打ち、肺が圧迫されるような感覚を昂る気持ちの中で感じとる。
制御出来ない高揚感の手綱を握り、僕はレッド・バードの成れの果てに視線を向けた。
叢に残されたガラスの欠片と鶏肉が、所在無さげな違和感を放っている……。
凄い……こんなおもちゃの木槌で、魔物を消滅させるだなんて……
僕は暫しの間、鶏肉とガラス状の石を交互に眺め、勝利の余韻に浸っていた。
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やがて落ち着きを取り戻すと、脳は自ずと今後のことへと思いを巡らす。
──自分より強そうな魔物に対しては、【Ignorance】で隠れよう。
勝てそうな魔物であれば、【プレコックス感】を放ち、固まった瞬間を【神木の槌】で叩こう。
それで逃げられれば、【Hate】を使って敵意を煽ろう。
そんな手段が有効そうだ。
先の見通しが少し立つ。
そして、なんとか食料を手に入れる……ことが……出来た……。出来た!
自分自身の成し遂げた快挙に未だ現実感が伴わない。でも、だけど。とにかく、出来た!
当面はこうして森に入れば、水と食料を確保出来る……!……?……。
少なくとも水に関しては、寝坊さえしなければ朝露を集めるのは容易いだろう……。
うん。……なんとかなるかもしれない。
弾む気持ちを最大限に抑えつつ、次はドロップ品の【鑑定】を行う。
“──【魔石】──レッド・バードの魔石。”
“──【鶏肉(小)】──レッド・バードの肉。サイズは小。”
僕は近くの木の枝に付いていた大きめの葉っぱを毟り取り、それで鶏肉をくるくる包むと、魔石とともに皮袋(大)の中に大事に入れた。
魔石は何に使うものなのかサッパリ見当も付かないが、いずれ何かの役に立つかもしれない。今は大切に取っておこう。
僕は行きよりも遥かに軽い足取りで、家路に就いた。
どこか遠くから鳥の鳴き声が聞こえ、呼応するように何かの獣の咆哮が聞こえた。
そんな何かの鳴き声も、今は不安感なく、自然体で聞いていられる。
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洞窟に戻った僕はさっそく、鶏肉を適当な木の枝に刺して、焚き火で炙った。
徐々にきつね色に変わりゆく鶏肉は、肉汁を滴らせ、落ちた油が灰を舞わせる。
洞窟の中が香ばしく焼けた肉の匂いで、満ちてゆく。
美味しそうに焼けていく鶏肉をワクワクしながらみ見詰めていると、既視感にも似た違和感が、僕の脳裏に不図閃いた。
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…………あっ……しまった……。刈った草、持って帰るの忘れた!!




