028 サバイバル10 ──レッド・バード1
◇ ◇ ◇
──気が付くと、左半身がなんだか熱い。
僕はまた最初にいた洞窟に戻っていた…………
結論から言うと、あの後……頭が三つあるハゲタカみたいな巨大な鳥に襲われて、為すすべなく啄まれて死んだのだ。
物事を前向きに考えて、冷静に対処しようとした瞬間、想定外の失敗を犯してしまう……。
僕にはよくあることだった。
それにしても、転んで骨折して死亡とか……いかにも自分らしい間抜けな死に方だ。
はぁ……。
惨めさと自嘲と……どこへもぶつけられない自己嫌悪……その他諸々の感情を乗せ込んで。
失意めいたものを大きく吐き出す。
緑に燃える異世界の焚火を、死んだ目で見つめながら。
もう……これ以上、生きていくのは嫌だ……。
滲んでいく視界の中でそう思った。
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翌朝、僕は死んだ目をして下山した。
石みたいな冷たい感情で、昨日の朝とまったく同じ行動を自動操縦のように繰り返す。
目は虚。足取りも重い。
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緑野と山肌の境目に辿り着くと、枯草はまだ無事に残っていた。
そして、昨日と同じように、夜露に濡れて湿っている。
昨日をトレースするように、枯草を置いて、森の方へと向った。
【Igonorance】を発動させ、亡者の行進のように生気なく……歩く。
その道中、進行方向に禍々しいオーラを発する真っ赤な鳥がいることに気がついた。
反射的にびくりと肩が跳ねる。
大きさはムクドリくらい。
とはいえ、ここは異世界だ。昨晩の怪鳥を思い出すと、膝が震えた。
恐怖心から腰を引けさせ、【Igonorance】を強化させる。そして、おそるおそる【鑑定】を使った。
“──【魔物】【レッド・バード】【レベル1】──鶏肉(小)を落とす。小さな火を噴く。”
魔物は手が届くような──比較的低い枝に止まっている。
【Igonorance】を作動させているとはいえ、このまままっすぐ進んで……万が一にも襲われたら、たまったものではない。
僕は迷わず回れ右をして、足音を潜ませ、そっとその場を立ち去った。




