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026 サバイバル8 ──スカーフ


 ──翌朝。


 身体中にチクチクと突き刺さる、枝の不快感で目が覚めた。


 朝の冷気に身震いしながら身体を起こすと、最後のパンを齧り、最後の水を少しずつ口に含ませる。

 パンと水だけの朝御飯を済ませると、僕はヨロヨロと立ち上がった。

 

 今日すべきことは……昨日刈った草の回収……。そして水と食料の確保だ。

 このままでは数日で死ぬ。水もパンも、底を尽きた……。



 ◇



 悲壮な覚悟を背負って下山すると、早朝のうちに、昨日の場所まで辿り着くことが出来た。

 緑野と山肌の境目には、枯草が無事、そのまま残っている。

 


 よかった……。



 そう安堵して枯草の山に手を触れると、なんだか夜露で濡れている。



 ……仕方ない。昼まで放置して乾かすか。その間に水と食料を探しだそう……



 そんな風に今日の方針を考えていると、膝下に触れるヒンヤリとした感触に意識を奪われた。

 視線を足元に転じると、青草が露に濡れて光っている。


 それを見た瞬間、僕の頭上に豆電球がピコンッと灯った。


 そうだ! 


 僕は頭に巻いていたスカーフを、右足の膝下あたりに巻きつけた。

 その状態で湖目指して、歩き始める──。


【神木の木盤】が「鍛練は湖方面がおすすめ」、と言っていたことを思い出し、素直に言うことを聞くことにしたのだ。

 指示されるがままに従うのは癪ではあったが、他に頼るところがない以上、仕方ない。


【Ignorance】を発動し、【神木の槌】を右手に握り締め、周囲を警戒しながら湖方面へと進む。



 歩きながら、周囲に叢生そうせいする名も知らぬ背の高い草を刈ったり、通り過ぎた木の枝を折ってゆく。

 帰路、道に迷わないようにするためだ。


 日頃からよく迷子になる僕にとって、この手の対策はお手のもの。


 しばらく進むと、足に巻いたスカーフが、結露を吸って、しとどに濡れる。


 僕は膝下に巻いたスカーフを解いて……口の上に持って行き、落ちてくる雫を口に含んだ。

 まだ残っている水分は、ギュッと絞って、水筒代わりの皮袋(小)に集めた。


 このサバイバルスキルも、アイドルグループ譲りのものだ。

 これ以外にも、蔓植物を切って、中に貯まっている水を飲む方法もある。



 湖まで行くのが無理なら、当面、これらの方法で水を得よう。



 薄暗い森の中、藪や小枝を掻き分けつつ、そんなことを考えながら、ひたすら湖を目指して歩く。


 森の中には朝靄あさもやが、まだわずかに残っていた。



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