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022 サバイバル4 ──フラッシュバック1


 ◇


 ──やがて森と山肌の境目まで辿り着くと、そこは青々とした草が生い茂る緑豊かな緑野だった。

 

 心地よい風が頬を撫で、足元の青草を揺らしてゆく。


 さっそく初期アイテムの小型ナイフで下草を刈り、刈った草を乾燥した大地に並べていった。

 勿論、【Ignorance】はずっと発動させている。

 以前のようにサソリに刺されるのはもう勘弁だ。

 


 小型ナイフで草を刈る。

 刈った草を地面に並べる。

 さらに草を刈る。

 地面に並べる

 ……そして草を刈る

 ……それを地面に並べる……


 そんな単純作業が延々と続く。


 作業に没頭していると、何かがトリガーになり、これまでの人生で経験した様々な出来事がフラッシュバックを始める。


 例えば手元の青草を刈っていると、立ち上る草の匂いから、こんな記憶が蘇った。



 ──中学の時の国語の授業。

 僕が“草いきれ”を何故か“臭いキレ”だと思い込んでいたことが露呈して、クラスの連中に嗤われた思い出だ。


『“臭いキレ”って何なんだよ? 雑巾か?』と、ひと月ばかり延々とイジられたっけ。



 そして──“雑巾”と言うワードから、放課後の掃除の時間の思い出を連想。

 女子たちが誰も僕の机を運びたがらなくて……その状況が可笑しいらしい男子たちも僕の机を運ぼうとせず……いつまでも放置される続ける僕の机……。


 ……その机を仕方がないから自分で運ぶ。

 その惨めさと切なさと、恥ずかしさ…………



 女子と言えば、ある日の昼休み。

 僕に告白してきた女の子がいたっけ。罰ゲームか何かで。

 その子は泣きながら僕に告白し……最終的に……PTA案件になった。


 その週末、僕は彼女の自宅まで両親を伴って謝りに行った。

 向こうのご両親は「そんなこと気にしなくてもいいわよ。十年経ったらいい思い出。笑い話になるわよ」と、寛容に許してくれたが、何故こちらが許される立場なのかは、誰も説明してくれなかった。




 こんな感じで玉突きのように、昔の記憶が連綿と自動再生され続ける。

 

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