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021 サバイバル3 ──マルチタスク


 ──翌朝。


 洞窟入口に淡い明かりが差し始めると同時に、僕は外に飛び出した。

 まずは洞窟周辺にある大きめの石と、灌木の枝を集める。


 ファイヤー・リフレクターを作ろう、と思ったのだ。


 ファイヤー・リフレクターとは…………焚き火の熱を反射させ、洞窟の内側に熱がもるようにするための壁だ。

 昔、テレビのサバイバル番組で、某男性アイドルグループがやっていたことを思い出したのだ。


 まずは【再出発の火】の洞窟入り口側に、大きな石を二列に配置する。

 そして、二列の石の間に切り落とした枝を挟んで、なるべく隙間が出来ないように立てていく。


 人一倍、不器用な僕がすることなので、完成するのにかなりの時間を要したが、その甲斐あって洞窟内は随分と暖かくなった。



 ──それが済むと、次は寝床作りに取りかかる。

 

 初期アイテムの毛布はかなり厚手のものではあったが、それでも地面からの冷え込みを完全に遮断するには頼りない。


 某アイドルのテレビ番組では、枯葉を地面に敷いて断熱材にしていたが、この周りに枯葉なんて無さそうだ。

 仕方が無いので代替案として、麓の森まで行ってきて、草を刈って乾燥させることを思いつく。

 この土地の陽射しを考えれば、すぐに草は乾くだろう。



 と、ここまで考えて、ようやく強烈な空腹感に気が付いた。


 

 深刻な事態に陥る寸前まで、自身の体調悪化や疲労感に気が付かないのはよくあることだが、この時点で気がつけたのは幸いだった。


 初期アイテムの硬いパンを齧り、水を少しだけ飲む。


 パンは残り二つになった。


 しばしの休憩の後、洞窟の外に出て、太陽の位置を確認すれば、時刻はちょうど真昼だろうか。


 草を集めに行くくらいであれば、十分、時間はありそうだ。


 僕は用心のため【Ignorance】を発動させながら、麓の森に向かった。

 

 普通、この手のスキルを使うと、魔力やらなんやらが消費されるのだろうが、不思議と体力が削られていくような感覚はない。

 意識を必死に集中する必要もなかった。

 まるで呼吸をするかのように、自然に【Ignorance】、【Hate】、【プレコックス感】といったスキルを扱える。


 スキルを発しながらの土地探索──マルチタスク──に不安を感じていたが、これであれば問題は無さそうだ。


 ちなみに、【鑑定】スキルについてはかなりの注意力が必要で、何かをしながらこのスキルを扱うことは難しかった。使い続けると、強い疲労感を覚える。


 スキルと術者の間に、相性のようなものがあるのだろう。

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