179 また逢いたいので、最終決戦1 ──取引
* * *
白鳥は注意深く、僕を100メートルほど離れた地点に着地させた。
その遠距離から、白鳥は僕を【鑑定】しているようだった。
彼の表情が目に見えて蒼褪めていく。
その表情の変化は、僕の新スキルへの驚倒を如実に示していた。
一方の僕は此処からが本番だと、自分自身に言い聞かせ──。
この遠距離から、白鳥に話し掛ける。
白鳥は【遠聞】スキルを発動させた模様で、僕の話にすぐに応じた。
「白鳥さん、取引をしましょう」
“………………取引……というと?”
白鳥が【念話】スキルで返事を返す。
僕は、白鳥が脳に直接訴えかけてくるその“声”に、強い苛立ちを覚えた。
彼に仕掛けた【Hate】の所為だ。
僕は心を落ち着かせ、出来る限りの穏やかな口調で続くところを口にした。
「白鳥さんや、騎士の皆さんに付与したスキルは解除します。その代わり……」
話し始めて、僕は自身の過度な緊張に気がついた。
落ち着かねば。
僕は少し、間を置いた。
そして白鳥に悟られぬよう、小さな呼吸を二度、三度と繰り返す。
そして再び、言葉を続けた。
「……僕を解放してください。数日分の水と食料……そして、馬……もしくは駱駝とともに」
“…………”
「………………」
“……………………”
夕日が僕と白鳥の間の空間を、鮮やかな臙脂に染めている。
「………………」
“………………”
沈黙をゆっくりと抉じ開けるように、白鳥が口を開いた。
“──明日部さん、その提案はお断りします”
「──ッ!!」
僕は想定外の返答に、最大限に両眼を剥いた──。




