178 白鳥翔の闘い5 ──【 聖橙光帯】
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時は数刻前に遡る──。
明日部は白鳥の指示でやってきた騎士に、【注意力低下】を施していた。
と同時に、【OAC】※を発動。
結果、ドアを開けた騎士は明日部を見るなり、扉を閉め、踵を返してどこかへ行ってしまった。無論、ドアの鍵は開けっ放しで……。
その後、明日部は魔物を呼び寄せ、毒グモを放ち──馬車の外に飛び出した──。
そして、蜘蛛毒にやられ、七転八倒している騎士たちを尻目に、適当な駱駝を見繕い、【テイム】を掛けると──。
明日部は最大出力の【Ignoarance】と【隠密】を身に纏い、そそくさとその場を離脱した。
※Open and Close──誰かが部屋に入ろうとして、中に明日部がいることが分かると、ドアを閉めてそっとその場を立ち去るスキル。
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白鳥は明日部がいた筈の馬車に向けて、斬撃を放った。
衝撃波が大地を抉りながら真っ直ぐ進み、轟音とともに馬車を呑み込む。
すると手品のように客室部の壁だけが、破裂するように綺麗になくなり、骨組みだけが残された。
──当然そこに──明日部の姿はない。
白鳥は【気配関知】を最大化させたが、それでも明日部の気配を捉えることは出来なかった。
そこまで確認すると──次に白鳥は、プラチナ色に鈍く輝く魔法杖を何もない空間から取り出した。
そして、その杖を大地に突き刺し、長い呪文を唱え始める。
数多のペールグリーンの光が杖の周囲を飛び回り──そのスピードが極大に達したその瞬間。白鳥は叫んだ。
「──SearcH!!」
無数の光が一瞬、乱舞したかと思うと、次の瞬間、光が四方へ飛び去った。
程なくして杖を中心に、地図のようなものが大地に描かれ、白鳥らの現在地と、明日部の居場所が光の点で示される。
「聖橙光帯!!」
エクルージュの光芒が真っ青な大空を切り裂くように、美しい直線を引きながら彼方へと消えてゆく。
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──五分後。
光の帯に拘束された明日部が、青空の中を飛んでいた。




