016 スキル確認2 ──前衛職的なアレだろうか?
心臓が早鐘のように肋骨を打ちつける中、僕は一つ一つのスキルに意識を集中させた。
まずは【言語理解】だ。
“──【言語理解】──この世界の住人の言葉を理解し、話すことが出来る。読み書きも可。”
うん。最低限、これがないと困る。
続いて……
“──【鑑定(レベル1)】──対象に意識を集中することで、情報を得ることが出来る。”
うん。【鍋】や【神木の槌】を見たときに使ったスキルだ。便利だ。ありがたい。
続いて……
“──【Hate(レベル2)】──あらゆる生命体から強い怒りを買うスキル。”
ん? 前衛職的なアレだろうか?
“──【プレコックス感(レベル2)】──あらゆる生命体に、「あれ、この人なんか変だぞ? なんか、嫌な感じがする。コイツ、ヤバくね? …………関わらないようにしよう!」という感覚を強烈に惹起させるスキル。”
えっ……?
“──【Ignorance(レベル2)】──あらゆる生命体から無視されるスキル。”
っ……!!
“──【AAP(レベル2)】──Alone at Party。飲み会など、人が集まる賑やかな場で自然と一人になってしまうスキル。”
…………。
“──【SAS(レベル2)】──Speak and Silence。人々が談笑している場で自分が発言すると、パタリと歓談が止まるスキル。”
“──【EAS(レベル2)】──Enter and Silence。部屋に入ると、中で楽しそうに話をしていた人々が急に会話を止めるスキル。”
“──【EAL(レベル2)】──Enter and Leave。部屋に入ると、中にいた人々が部屋から出て行くスキル。【EAS】に続いてよく起こる。”
“──【OAC(レベル2)】──Open and Close。誰かが部屋に入ろうとして、中に僕がいることが分かると、ドアをそっと閉じてその場を立ち去るスキル。”
“──【HUP(レベル2)】──Hang up Phone。電話をしても、電話に出てもらえないスキル。”
“──【NR(レベル2)】──No Return。メールをしても、返事が返ってこないスキル。”
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その他、同じようなスキルが百個近く、頭の中に浮かんでいる。
嫌な汗が首筋を伝う。
僕は縋るような目で、【神木の木盤】に視線を向けた。
“──チュートリアル終了。別途指示があるまで、鍛練に励むこと。湖方面がおすすめ。”