第712話:グレイスさんの役割
「こんにちは、今日からお世話になるグレイスです。よろしく!」
バーンと扉を開けておうちに到着。私はグレイスさんの小脇に抱えられてるんだよ・・・
なんていうか、久しぶりの感じなんだよ・・・
「リーゼロッテ様、コレは・・・?」
元ギルドの受付のお姉さんのグレイスさんなんだよ。みんなもよく知ってるでしょ?
「元ギルドの受付って、グレイスはギルド辞めちゃったの?」
そんなわけで、申し訳ないけどジブリールはグレイスさんのお部屋を準備して欲しいんだよ。
あと、マーガレットさんとククリでグレイスさんの装備をお願いなんだよ。
「で、元受付さんはどんなことが出来るの?」
御使いの付き人っていう職業らしいんだよ?
「名前からはどんな職業かわからないわね・・・戦士系?魔導師系?」
さあ?
完全に気配を消したりするからアサシン系?
「うーん?魔法で戦うけど?」
普通の冒険者風の服でいいと思うんだよ?
「じゃあ、アサシンをベースに魔法の補助を付与する感じで良いかしら?」
それでお願いするんだよ。
「武器はどうするんだ?」
グレイスさんは魔法を使うなら杖なのかな?でも、普通の魔法じゃないんだよ・・・
「武器は特に使わないかな?」
それでいいの?
「リーゼちゃんの役に立つものがあればそれが欲しいかも?」
私の役?
なんだろう?基本的に私は冒険に行っても戦わないんだよ。
じゃあ、お薬を作るお手伝い?リリスが居るんだよ?
それ以外でも精霊さんが手伝ってくれるし・・・
そうすると何を?
お店のお手伝い?それはメイドさん達がやってるんだよ?
あとは何?
グレイスさんの役割を思いつかないんだよ・・・
やっぱりギルドでお仕事を続けてた方がいいんじゃないかな?
「でも、御使いの付き人ですよ?御使いとはすなわちリーゼちゃんのこと!」
そうなのかな?
7人の御使いのことなんじゃないかな?7つの美徳だっけ?
「だとすると、リリスの付き人ということですの!」
リリスがニンマリと微笑んでグレイスさんの顔を覗き込む。
グレイスさんが2歩ほど後ずさる。
「そ、そんな馬鹿な・・・御使いとは神の使徒のことでは?」
だとすると、造物主の加護を受けているグレイスさんが御使いなんだよ?
「自分自身の付き人なのじゃ!」
グレイスさんがガックリと跪いてるんだよ・・・
それに、私は神様の娘らしいから御使いじゃないと思うんだよ?
「そ、・・・ば、・・・」
もしかしてそんな馬鹿なって言いたかったのかな?
なんか、コヒューコヒュー言っててよく聞き取れなかったんだよ・・・
「それだとおそらく、御使いとは私のことだと思います。創造神に使える大天使ですので・・・」
そうすると、グレイスさんのお仕事はジブリールのお手伝い?
「つまりはメイドですね」
ジブリールの言葉を聞いて、グレイスさんの瞳に光が戻ったんだよ。
「では、リーゼちゃん専属のメイドということでお願いします!」
そういえばヨナが私の専属を外れてお菓子メイドになったんだよ。
まあ、あんまり困らせてグレイスさんが壊れちゃうと大変だからね。
レベル99の人が暴れると危険が危ないんだよ。
「じゃあ、武器は包丁とお玉にでもするか・・・」
そういえばメイドさんはみんな包丁を持ってたね。
「衣装もメイド服の方が良いのかしら?」
いっその事アサシンメイドみたいな感じでどうかな?
「何それ面白そう!」
マーガレットさんがやる気を出してどこかに行っちゃったんだよ。
自分の部屋でデザインを考えてるのかな?
「なるほど、方向性はわかった、私も何か考えてくるとするか・・・」
ククリも部屋に帰っちゃったね。悪ノリしてる時の顔だったんだよ・・・
「流れ的に認めるしかなさそうではないですか・・・」
ジブリールも少し困った顔をしてるね。
「仕方ありません、リーゼロッテ様の専属とします」
その瞬間に元気が全快したグレイスさんに小脇に抱えられてどこかに連れていかれたんだよ・・・




