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白と黒  作者: 更科灰音
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第040話:初めての襲撃

街に着いたら、露天巡って色々買おう!

そう思っていた自分がいました。そう、過去形です。

今は絶賛盗賊に襲われ中です。


「とりあえず、金目のものと女を置いてけ」

わかりやすすぎる脅し文句。

「ところでニニアよ、盗賊は殺しても罪にならんのかや?」

リズは速攻で生け捕りという選択肢を放棄したようです。

私を守りながら手加減ができないというのが真実かも知れません。

「罪人なら大丈夫よ。ただギルドが認めた罪人じゃないとダメね」

つまり指名手配されてない盗賊は殺したらこっちが罪になるかも?

「指名手配されるまでは一般人という扱いなんじゃな?」

でも、誰が指名手配されてるかなんてわかるの?

「だから、基本は生け捕りにするしかないのよ、面倒だけど・・・」


「舐めてんのか?とりあえず御者は殺せ、そうすりゃ馬車は動かせねぇ」

変なところで頭が回る。

とりあえずアイテムボックスからポーションを何本か出して二人に渡す。

私はカインズさんたちのところに行ってポーションを渡す。

とりあえず死ぬ前に飲んでね!いっぱいあるから!

そして加工前の龍の鱗を出して盾の代わりに構える。


呪いのせいで攻撃は私に集中すると思う。

後はリズの鱗の堅さを信じる。まさか盗賊が伝説の武器とか持ってないよね?

「さてと、聖剣サラトガ・クーラーの試し斬りと行くか!」

何で盗賊が聖剣を持ってるの!?

これも呪いのパワー?


「ねえ、リズ、聖剣って本物だと思う?」

盗賊の1人が抜き放った聖剣と称する剣。

「そんな力は感じぬがのう、それに妾の時代にはなかった聖剣じゃ」

リズも知らない名前の聖剣らしい。

「じゃあ、偽物の可能性もあるのね」

でも、本物かも知れないんだよ?

「まあ、たとえ本物であろうと問題ないのじゃ!」

そう言って、リズが剣を抜く。

一瞬で聖剣を持った盗賊の目の前に移動し、

強烈な剣戟を叩き付ける。盗賊ではなくその手に持った聖剣に対して。


がきぃん


ものすごい音がして折れた。聖剣が。

「やはり偽物だったのじゃ。騙されたんじゃな」

聖剣を持っていた盗賊は呆然としている。

自分の絶対的な有利がいともあっさりと覆って頭が現実を認識できないんだろう。

「馬鹿な・・・聖剣が・・・」

ニニアさんが呆然としている盗賊を縛り上げる。

「たぶんこいつが頭目だと思うけど?」

他の盗賊がこれでどっかに逃げてくれればいいんだけど・・・


「野郎ども、お頭の敵だ!」

そこら辺はお馬鹿だった。

そもそもお頭はまだ死んでないよ?敵って・・・

「全く元気が良いのう。素直に逃げれば良いのじゃ」

リズの敵じゃないかもしれないけど、さすがに人数が多すぎる。

ニニアさんの魔法でまとめて倒せたりする?

「これだけの人数を殺さずに倒すのは無理ね」

殺していいならできるんだ・・・


「それなら妾に任せるのじゃ!」

え?殺しちゃダメなんだよ?

リズだと手加減しても死んじゃうと思うんだけど?

服を脱ぎ始めたリズにニニアさんが忠告する。

「リズ、それはダメよ、街が近すぎるわ」

ドラゴンの姿を見せようとしたのか。

あれはびっくりして腰を抜かすよね。

でも、街が近すぎる。それに馬が逃げちゃうかも。

「仕方ないのぅ・・・」

やっぱりダメ?降参する?


「春の日差しよ、食後の安らぎよ、かの者らに安らかなひとときを!シエスタ!」

盗賊の周囲がピンク色のもやに包まれる。

「な、なんだこりゃ?ぐぅぅ」

1人、また1人と盗賊が倒れていく。

「暖かい、そしてこの満腹な感じ・・・すやぁ」

倒れた盗賊はみんな眠っている。

「さてと、後は片っ端から縛り上げるだけじゃ」

それにしても、スゴイ魔法だね。

「睡眠誘発の魔法でもここまで効果が出ないわよ?」

ニニアさんも知らない魔法らしい。

「睡眠効果なんざありゃせんよ。飯をたらふく食って、暖かな日差しに包まれた感覚を与えるだけの、幻覚魔法じゃ」

ああ、なるほど。

お腹一杯になってポカポカの日差しなら寝ちゃうよね・・・

「なんて言うか、エグい魔法ね」


そう言うわけで、盗賊たち一行37名様はめでたく縄で縛り上げられました。

で、どうするの?コレ?連れて行くの?

「幸い、街は近いんじゃ、馬車の後を歩いてついて来させれば良いだけじゃ」

それにしても何でこんな街の近くで襲ってきたんだろうね。

「大方、街を目前にして襲われるという絶望感を与えたかったんじゃないの?」

結果は大失敗だったけどね。

たしかに、もう少しで街に着くって言うときに襲われたらガッカリ感が大きい。


「予定よりも少し遅れましたが、ようやく到着ですな」

街の門衛が見えてきた。無事についてカインズさんもようやく安心したようだ。

むしろこの段階で襲われたら絶望感は半端じゃない。

尤もすぐに門衛が騎士団でも呼んでくれるとは思うけどね。

ここで盗賊を引き渡して、その後は荷物の検査? 

それがすんでやっと街に入れるみたい。

どうにか日が暮れる前には中に入れそう。


「ようこそバンドルの街へ」

バンドルの街って言うんだね。

外壁だけしか見えないけど、コモンズの街とあんまり変わらない規模なのかな?

「途中で盗賊が襲ってきたから連行してきたわ」

そう言ってニニアさんが盗賊たち一行を指さす。

門衛の人はあんぐりとしている。

まあ、これだけの人数だしね。びっくりすると思うよ。

「確認いたしますのでお引き渡しを」

門衛とニニアさんの後を盗賊たちを数珠つなぎに縛ったロープを持ったリズがついて行く。

「我が主は積み荷の検査があるじゃろ?」

盗賊の処分は二人に任せよう。

私はカインズさんのお手伝いだ。


「積み荷を改めさせて貰う」

さっきとは別の門衛さんに積み荷一式の書類を渡す。

「して、実際の積み荷はどうした?」

ああ、全部見せないといけないんだ。

アイテムボックスから出して並べていく。

よいしょ。これで全部かな?

「では、確認をお願いします」

この門衛さんもあんぐりしている。

「ちょっと待て、これどこから出した?」

アイテムボックスだよ?

「収納魔法ってこんなに入るのか?」

自分の荷物もあるからもう少しだけ入ってるよ。

そう言って、温かいスープの入った鍋や、焼きたてのパンを取り出す。

「いや、そう言う冒険者個人の荷物は検査しない。しまっていいぞ」

門衛さんは書類に目を通しながら積み荷を検査していく。

すべての積み荷を検査して書類にサインをする。

「積み荷に問題はないようだ。税は金貨1枚と銀貨75枚だ」

カインズさんが税金を払ってようやく中に入ることができた。


ニニアさんとリズはどこだろう?

「あ、きたきた。報奨金もらえるわよ」

盗賊を捕まえた報酬と、捕まえた中に大物が混じってたみたいでその報酬だって。

聖剣(偽)使いの人が大物だったのかな?

「この書類をギルドに持って行くと報酬がもらえるらしいのじゃ」

依頼を受けたわけじゃないけど、依頼達成扱いになるのかな?


「それでは、明日、朝の鐘にこの門前の広場に集合しましょう」

夜明けの時になる鐘だね。


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― 新着の感想 ―
[一言] アイテムボックスでの運搬代は、入った量によって決めると話していたが、幾らになったのる
[気になる点] 襲われても殺しちゃいけないってのが、いまいち納得いかないです。 相手が指名手配されてるかどうかなんて関係なくないですか?
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