第1090話:結局悪いのは誰なんだよ?
じゃあ、コヒメはミルキーウェイを女神にするしかないと思う?
「そうね、今のところいい案は思いつかないわ」
アンドーは?
「うーん、ミルキーウェイを神薬に漬け込むのはどうっすか?」
なるほど、ミルキーウェイにシステムコールを覚えさせるんだね?
「うまくすればログアウト出来るようになるかもしれないっす」
ダメもとでやってみる?
「でも、どうやってミルキーウェイを神薬に漬けるの?」
誰かが中でミルキーウェイを・・・
あれ?
神薬は私のアイテムボックスにしかないんだよ?
私が入ったらワールドクエスト終わっちゃうんだよ?
「では、お嬢様ならどうです?」
コヒメなら神薬を作れないかな?
「通常アイテムならいくらでもどうにでもなるけど、流石に神薬は無理ね」
困ったんだよ・・・
「では、リーゼロッテがログインして神薬を出してすぐにログアウトするとか・・・」
それはタイミングがずれると失敗するね。
そして私には山盛りの呪いがあるんだよ。
すなわち、失敗の可能性が高いんだよ。
そうだ、コヒメなら私の呪いが解けないかな?
「そうね、実体化する前なら調査次第では呪いの一つくらいどうにかなったかも・・・」
やっぱり、ミルキーウェイに女神になってもらうしかないかな?
「ミルキーウェイが女神になるのが問題なんすか?」
アンドーはどうにか出来るの?
「いや、ミルキーウェイとは会ったばかりなんすよね?」
そうだけど?
「ミルキーウェイに聞いてみたんすか?」
なにを?
「どうしたいかをっす」
あー!
そう言えば、何も聞いてないね。
「もっとも、お話する時間もなかったみたいっすけど」
でも、ミルキーウェイが私の予備っていうのは本人から聞いたんだよ。
「じゃあ、もっと根本的なことっす。ミルキーウェイは誰が作ったんすか?」
それはわからないんだよ。
コヒメじゃないのは確かだけど。
「そんなもの作れる人ほかに知らないんすけどね・・・」
アンドーも作れないよね?
「無理っすね」
でしょ?
「でも、作れる人は知ってるっす」
誰?
「先輩っすよ」
だから、コヒメじゃないんだよ!何度も言ったけど!
「リーゼロッテにとって先輩は先輩はどんな存在っすか?」
最初は神様だと思ったんだよ。
「じゃあ、リーゼロッテのイメージする神様はこの姿をしてるんすか?」
そうか、神様の名前は『橋本真一』だったんだよ!
「先輩の名前は『真白小姫』っすよ?」
そういうことなんだね?
「多分、ミルキーウェイを作ったのは『橋本真一』っすよ」
でも、その人はコヒメなんでしょ?
「リーゼロッテと融合する前の私?そんなの完全に手詰まりじゃない」
もう世界のどこにも居ないんだよ・・・
いや、その推理はおかしいんだよ!
だって、ミルキーウェイの方が新しいんだよ?
私はいったい誰が作ったの?
ミルキーウェイとは親が違うって言ってたんだよ?
「リーゼロッテは作った後も色々と調整を重ねていたのよ」
コヒメになった後も?
「そういうこと。理解した?」
でも、コヒメは『橋本真一』のことを覚えてるんじゃないの?
「最初はね。だんだんと混ざりあっていって、今となってはほとんどリーゼロッテなんだよ!」
でも、それでも親が違うとは言わないんじゃないかな?
「うーん、それもそうよね?」
それに、いくらなんでも少しくらいは覚えてるんじゃないかな?
なんでミルキーウェイのことを全く覚えてなかったんだよ?
「それもそうね。それだけ重要なことなら忘れるとは思えないし・・・」
やっぱりほかにミルキーウェイを作れる人が居たんじゃないかな?
「そりゃあ、世界中にミルキーウェイを作れるだけの人は探せば何人もいるとは思うけど、あの世界に入れる人は限られてるし・・・」
実はミルキーウェイはそれほどすごくないんじゃないかな?
私よりもかなり機能を限定してるとか・・・
「それなら安藤には無理でももう少し技術が上の人なら・・・」
その中であの世界の中に入れたのは?
「部長っすかね?」
それは誰?
「私たちの上司よ。偉い人。隊長とか騎士団長とかそんな感じの人」
コヒメがボスじゃないの!?
「一番の下っ端じゃないけどそんなに偉いわけでもないのよ」
ギギギっとアンドーの方を見て、再びコヒメの方を見る。
「なんで一瞬こっちを見ったすか!?」
アンドーが一番下っ端だと思ったんだよ・・・
「リーゼロッテはミルキーウェイの何を気にしてるのですか?」
だって、私の予備ってことは自分のしたいことは出来ないってことなんだよ?
私は自分のしたいことをやりまくってきたんだよ。
それだったら、ミルキーウェイにも自分のしたいことをしてほしいんだよ!
「そういう考え方だったから、世界を安定させるためだけのミルキーウェイが必要だったんじゃないっすか?」
あれ?
そうなの?これも私のせい?




