第1062話:海を作る
「ここのお店全部!?」
でも、食べきれる分だけなんだよ?お残しはダメなんだよ!
「じゃあ、欲張らずに1個ずつがいいのね・・・」
そう言ってネレイドはどら焼きのお店に並んでるんだよ。
「すごい!本当にカードを見せたらもらえた!」
ところでネレイドの試練ってどんなやつなんだよ?
「試練?」
あれ?本人が知らないんだよ?
渚に居る精霊さんの試練に合格すると精霊石がもらえるって聞いたんだよ。
「ああ、おいしいものが食べたかったのよ」
ってことは?
「リーゼロッテ様が夢をかなえてくれたの!」
ネレイドがどこからか青い石を取り出して渡してきた。
「はい、これあげる!」
名前:海の精霊石
品質:最高品質
説明:海の精霊力が固まったもの。
「おいしかった。でも、もうおなかいっぱいなの・・・」
別にいつでもここに来れば食べられるんだよ?
「でも、海からここに来るのは私だけじゃ無理だし・・・」
なるほど。ここには海がないからね。
海っぽい何かを用意すればここに来られるのかな?
ちょっとリナに相談してみよう。
「海ですか?まあ、ダンジョンの地形で海の一部を作ることは可能ですけど・・・」
それはなんか違うんだよ。別にここに海岸を作りたいわけじゃなくて、
ネレイドが実体化するために海っぽいものが必要なんだよ。
「それなら、小さな泉か噴水でも作って中の水を海水にすればいいのでは?」
なるほど!
でも、海水ってどうやって持ってくるんだよ?
「そこは海の精霊様の力でどうにか出来ないでしょうか?」
そうか!さっきの精霊石を使えばどうにか出来そうなんだよ!ハリボーさんとかが・・・
ちょっとハリボーさんのところ行ってくる!
「レプラコーンの里ですね」
ネレイド用の道具を作ってもらうんだよ。
チリンチリン
ガチャ
「おや?女神様?」
長老さん、ハリボーさんは居る?
「ハリボーは工房に居ると思いますが?」
工房だね?行ってみるんだよ!
「女神様、お久しぶりです。そちらの方は?」
海の精霊のネレイドなんだよ。
で、彼女のために海を作ってほしいんだよ!
「海、海ですか・・・」
別に砂浜とかそう言うのじゃなくて、海の水が湧き出る泉とか噴水的なものなんだよ。
海の精霊石をあげるから自由に使っていいんだよ!
「海の精霊石!それなら、可能ですね・・・構想はいくつかあります」
しばらくすると、水があふれる器を持ってやってきたんだよ。
「私は噴水は作れませんので、あくまで模型だと思ってください」
なるほど、どれどれ?
ぺろっ
しょっぱいんだよ!海の水の味なんだよ!
これはずっと水が出てくる感じなのかな?
「そうですね、ただこれだと水があふれてくるだけでそのうち出なくなります」
じゃあ出るだけじゃなくて、下から吸い込む感じで・・・
「巡回させるのですか?」
そうするとどこかでお水をきれいにする仕組みも必要だね。
「浄化の術式を組み込むのは私には無理ですね・・・」
うーん、浄化のスキルを持った魔物なんていないよね?
「定期的に水の交換とかをするしかないかもしれませんね」
そうか、別に浄化じゃなくても汚れを取ればいいんだから、スライムでもいいのかな?
「海スライムを連れてくる?」
海スライムなんて居るの!?
「さあ?ネレイドは見たことない」
一応ミロンに聞いてみよう。
チリンチリン
ガチャ
「おかえりなさいませ、リーゼロッテ様」
ただいま、ジブリール。ミロンはどこ?
「騎士団の詰め所かと思われます」
騎士団だね!
「我が神よ、御用でしょうか?」
ファロン、ミロンは居る?
「リーゼ、ミロンはここ」
あ、いたいた。
ところでミロン、海にスライムって居るの?
「海には居ない。溶ける」
なんですと!?
じゃあ、いったいどうすればいいんだよ?
「我が神よ、何かお困りか?」
ネレイドのための海を作ったんだけど、定期的に浄化したいんだよ。
「海?」
これなんだよ。
「これは海水が出る噴水ですか?」
そうなんだよ。海のお水が循環してるだけだからそのままだとお水が汚れるんだよ。
「話は聞かせてもらった!であれば、大聖堂に居る皆で定期的に浄化すれば問題なかろう?」
おお!さすがシャノン!
「当番制にでもすれば皆の浄化の修行にもなるであろう」
じゃあ、そんな感じでお願いなんだよ!
「あとはこれをどこかに設置するだけですね!」
それは誰に相談すればいいんだよ?やっぱりヤヨイさん?
「どちらにしても宰相殿に相談は必要であろう」
それもそうだね。まずはヤヨイさんに相談してみるんだよ!




