第1024話:大工ゴブリン
「オムレツは木材の加工、ゆで卵は基礎工事用の穴掘り、目玉焼きは組み立てだ!」
ガンゾ親方の指示のもとものすごい速さで建物が建っていくんだよ。
すでに奴隷ゴブリン用の宿屋風宿舎は完成して、今は村人用の家を建てているところ。
「今日中に5軒完成させるぞ!」
それとは別に村の施設なんかも建築が始まってるんだよ。
1日中工事してるからね、奴隷ゴブリンの中には大工のスキルを覚えたのも居るんだよ。
ほかにも穴掘りとか木工とか。
そういう人が班長になって、グループ分けされて作業を分担していく。
そしてある程度作業をこなせるようになったら別の作業を分担・・・
そんなことをしていたらいつの間にか種族が『大工ゴブリン』になってたんだよ・・・
服装もそれっぽくなってるし・・・
大工ゴブリンたちの要望でゴブリン用の宿舎のそばにゴブリン用のお風呂屋さんを作ったんだよ。
ちなみに、大工ゴブリンは女の子しか居ないから女湯だけなんだよ。
人数が多いから浴槽も大きいのをいくつか作らないといけなかったんだけど、
女湯だけだから通常の半分でいいしね。
建物の建築がひと段落してくると、今度は道具の作成や畑なんかも作り始めて、
いつの間にか種族が『開拓ゴブリン』に進化してたんだよ!?
そのころには元の村人ともほとんど対等の立場になって全員を奴隷から解放することになったんだよ!
種族は『祝福された開拓ゴブリン』になって、見た目もだいぶ人に近くなったね。
元以上の規模に発展したバリーの村はそのうちバリーの街になるんじゃないかな?
で、復興完了ってことで元々の『ゴブリン討伐』の依頼は完了ってことでいいのかな?
結局ゴブリンは討伐してないけど・・・
てなことをギルドに報告に行ったんだけど・・・
「え?あの依頼はバリーの村が一度消滅した時点で無効ですよ?」
そうなの!?
「むしろ女神さまの功績をたたえる絵本や演劇の題目が増えたくらいですよ?」
いつの間に!?
「あれから3か月もたってるじゃないですか・・・」
まあね、村1個作ったからね・・・結構時間がかかっちゃったんだよ・・・
「依頼が生きていたところでとっくに期限切れで失敗ですよ?」
うう、頑張ったのに・・・
「ちなみに、バリーの村は現在は女神教の直轄地ですよ?」
え?
私はそんなこと聞いてないんだよ?
「この前王都で発表がありましたよ?」
また私のあずかり知らぬところで誰かが暗躍してるんだよ・・・
おそらくヤヨイさんだと思うんだよ・・・
「女神教側の代表は最高司祭様と宰相様でしたね」
最高司祭はシャノンだけど、宰相って誰なんだよ?ヤヨイさんかな?
それにしても、何でいつも私に全然何の相談もないの?
「それは女神様がいつも居ないからです」
いつの間にか真後ろにヤヨイさんが立ってたんだよ・・・
「何で冒険者の格好をしてふらふら出歩いてるんですか!」
そ、それは・・・
「まあ、我が代行として色々な決済は行ったのではあるが・・・」
そうなんだよ、こんな時のための最高司祭なんだよ!
「私なんていつの間にか宰相扱いになってるんですけど?」
じゃ、じゃあ正式に宰相さんに任命するんだよ。お給金は金貨5枚でどうかな?
「それもまた日給なんですか?」
お給金は基本日払いなんじゃないの?
「そんなのは冒険者くらいです。普通は月払いです」
てことは金貨150枚?それで勘弁してほしいんだよ・・・
「お給金が増えたところで使う暇もありませんよ!」
えーと、ヤヨイさんの裁量で何人でも人を雇っていいんだよ。
学生時代のお友達とか、先生とか、優秀な学生とかでもいいんだよ。
「人数は?」
何人でもいいんだよ。
「予算は?」
いくらでもとは言えないけど、私のお金を半分くらい使ってもいいんだよ。
「さすがにそんなには必要ありませんよ・・・国がいくつも買えちゃいますよ?」
え?




