第1001話:マスター、ゲームが壊れた
◇ ◇ SIDE:山田 ◇ ◇
-エラー:ログイン出来ません-
あれ?この前のゲーム出来ない。
昨日メイドがやってるときは平気だった。つまりメイドが壊した。
-エラー:ログイン出来ません-
再起動しても変化なし。
これは完全に壊れている。こういう時は運営に言うのが一番。
マスター、ゲーム出来なくなった。メイドが壊したかも?
「ゲーム機が壊れたの?」
違う、パソコンのやつ。マスターが作ったゲーム。
「ああ、あれ。どれどれ?」
-エラー:ログイン出来ません-
昨日メイドがやったときは平気だった。メイドが壊した可能性が高い。
「佳乃も気に入ってたみたいだし、壊れたらすぐに報告するでしょ?」
じゃあ、黒音が壊した?昨日はやってないし、今日これからゲームしようと思ってた。
「ちょっとサーバーを調査するわ。壊れてればリーゼロッテが泣きついてくると思ったんだけど・・・」
リーゼロッテは管理者失格。
「あら?サーバーが完全に停止してるじゃない。中に入れないと調査が面倒・・・」
もうゲーム出来ない?
「ちょっと調査に時間がかかるかも・・・昨日は大丈夫だったのよね?」
詳細はメイドに聞いてほしい。最後にゲームしてたのはメイド。
「佳乃、ちょっと来て」
マスターが呼べばメイドはすぐにやってくる。
「ご主人様、どうかしましたか?」
昨日ゲームをしてたのはメイド。そのあとは誰も触っていない。
「昨日向こうの世界に行ってた時におかしなことはなかった?」
メイドが首をかしげて思い出そうとする。
「はて?普通にクロノスに潜って3階層ほど進んでログアウトしましたが?」
どうやら思い当たることはないらしい。
犯人ではないとしても役に立たなかった。
「もしかしてサーバーの調子が悪いのですか?」
ゲームが出来なくなった。黒音はミロンと遊びたかった。
「なるほど、佳乃がゲームしてた時は問題がなかったんなら、そのあとの時間のログを調査か・・・」
黒音が宿題していた時間だから22時ごろまでだと思う。
「怪しいのは日付が変わったときの処理かな?まあ、調べるのにしばらく時間かかるわ」
◇ ◇ SIDE:真白 ◇ ◇
さて、ログがとにかく膨大なのよね・・・開発用サーバーだったから色々と垂れ流してたし・・・
まずはサーバーの状態を再確認。
接続ユーザー数は0人。これは当たり前か。そもそもログインできるユーザーが限られてるからね。
サーバーの内部時間が停止?これはどういうこと?
これが問題っぽいけど、原因を調査しないとね。
いつまで動いてたのかしら?
怪しいのはやっぱり日付が変わったときの処理だけど・・・
うーん、特に問題なさそう・・・
◇ ◇ SIDE:安藤 ◇ ◇
ヴヴヴヴヴヴ
あれ?スマホが震えてる・・・ような?
でも、眠いし・・・
-タッケテ-
さすがにこの時間じゃ先輩からの愛のメッセージってことはないと思うし・・・
うーん、むにゃむにゃ・・・すぴぃー
◇ ◇ SIDE:真白 ◇ ◇
ダメだ、このログを解析する専用のツールをまず作ろう。
話はそれからだ。こんなもんまともに見てられない。
1時間分で20GBもあるとか頭おかしい。誰?これ作ったの・・・ってあたしなんだけど・・・
そもそも、もともとはこんなにログが出なかったんだけどな・・・
リーゼロッテが何をどれだけやらかして膨大なログが出るようになったのやら・・・
あたしのリーゼロッテの記憶と照らし合わせても何かがおかしい。
だいたい、空中神殿なんてあたしの記憶にはない。
もちろん、こんなものは実装してなかった。
あたしと融合したリーゼロッテとは別の分岐をした世界のリーゼロッテ。
恐ろしいことに、ゲーム内のキャラクターが空中神殿を作り上げた。
そんなことが出来るような実装はして居ない・・・
自己進化型AIとはいえ、ここまでのことが出来る設計じゃなかったのに・・・
まあ、そんなこと言ったら、あたしと融合したこと自体がもはや理解を超えてるんだけど・・・
仮想世界から現実世界に干渉してくるなんて・・・
-世界に仮想とか現実とかないんだよ!-
そうね、リーゼロッテなら、そう考えるよね。
あたしはこの世界でのリーゼロッテ。世界が壊れたなら、直せばいいんだよ!
リーゼロッテの薬はないけど、そんなのは関係ないんだよ!




