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大海の鯱、井の中を知らず  作者: 異端(ヰタン)
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回想八話 サルガタナス、渦動

~王室~





王室は閑散としていた。


先程まで五角天が居座り、多少の賑わいを見せていたこの王室も今や王とフェイのみが残るという状況であった。


「ザギちゃん、イェルミの二人とも敵の幹部との戦闘を優位に進めてる。」

フェイの髪がオレンジに変わる。顔の表情こそあまり変化はないが、これは戦況に興奮が止まらないといった様子だ。


「そうか、まあ当たり前よ、我々の五角天が革命軍の幹部に手こずる筈がないのだからな。」

王は3階王室の窓から戦場の様子を椅子に腰掛け、頬杖をつきながら応えた。


「でもアヴィドは苦戦してるね。」


「アヴィド...あやつは些か私に対して、いや、王国に対しての忠誠心が足りないように見えるな...


まぁ、致し方ないことか...」


王の脳裏に炎上した山村の情景が浮かぶ。



「...フェイ、アマテュルクはどうだ?」


「音信不通。」


「うーむ、アマテュルクが戦場でのたれ死ぬとも思えんがなぁ...

まぁ良い、我々にはイェルミがいる。どのような展開になろうとも、彼女が全てを覆してくれる。」





~崖近辺~





猛烈な風が吹き荒れる中、五角天ザギと革命軍サルガタナスが熾烈な戦闘を繰り広げる。


「アハハ!やっぱりあんた、戦闘に関しては弱いんじゃない?」

ザギは足裏をスパイクに変え、風の中でも機動力を欠かさずサルタを攻撃する。


両腕両足を自在に武器に変化させザギは一瞬の隙をもサルタに与えない。

右上腕から鉛弾二発飛び出したと思えばサルタの避けた先に刃が飛んでくる。


「──[足迅]。」

サルタは右足爪先をを軽く地面へ接触させ、そこを起点に旋風を巻き起こす。


「なんかボソボソ呟いたと思ったら隙だらけとかウケる(笑)」

両腕をAKに変え鉛弾計二発を音速で飛ばし、即座に右腕を鎌へと変化させる。


「もうこの時点で避けても避けなくても深傷(ふかで)を負う運命は確定したよ、フフッ!」


サルタは剣を胸の前で横に構え、右足に巻き付けた旋風を鉛弾二発目掛け蹴り出す。


すると、弾は風圧に気圧され、動きを止めた。


(避けたら斬られるから弾を直接止めたワケね、まあ大方予測済みなんだけど笑)


ザギは鎌の柄を引き延ばし、真横水平に刃を構え同時に足をロケットエンジンに変化させ体ごと一回転させた。


そして、鎌の刃はサルタの鎧に直撃し、2、3m程吹っ飛ばされ膝をついた。


「クリティカルヒットぉ!」

ザギは鎌を再度銃に戻すと、己に拍手した。



「ふぅ、まだ満身創痍とまではいかないが私の体もガタついてきたな...」

サルタが立ち上がる。


(私の剣がこの闘いに於いて決定打となるには程遠いか...

しかし、私にはココがある。)


サルタは自分の被っている兜を撫でた。


(敵の銃による攻撃を待つか...)


「──[凱風]。」

サルタは剣を地面に勢いよく刺した。そして自分を中心に竜巻を起こし、暴風に乗ってザギに対して立ち回る。


「竜巻ィ?もぉー!面倒くさ!」

ザギは右腕を少し長めの剣に変え、左腕を拳に変える。


「──[風来之陣]。」


サルタの剣に緑がかったオーラが纏わりつく。


そしてザギに向け突進し、接触したタイミングで体に纏った竜巻を爆散させる。


「うっ...きゃあっ!」

ザギはスパイクを刺した地面ごと掘り返され後ろへ吹っ飛ばされる。


更にサルタは追撃をかけ、オーラを纏った剣で(くう)を再三再四斬りつける。

すると剣先の軌道上に高密度な空気の圧縮体が緑の光を反射し始め、(ほの)かに緑がかった風刃を作り出す。


そしてサルタは重ね重ね空を斬りまくり、風刃を幾度となく作り出す。


(うわ~面倒臭いことし始めたよ...これは近づけなさそう。)

ザギは一歩下がり、右腕を銃に変える。


「──[風来之陣]、出力。」


サルタは剣の持ち手の底面で、作り出した風刃に真横から衝突させた。

風刃は暴風に乗り、それぞれが違う軌道を描きザギを切り刻むが為飛んでいく。


「チッ、最悪ぅー...だけど、ここを凌げば好機よ!」

ザギは左腕のアマルガムを溶かし、展性を利用し押し広げ、障壁を作り出す。


まるで竜巻が住宅街を蹂躙するかのような音がした...が、


「ウフッ、手応えあり♥️」

障壁の横から銃口を突き出したザギが嘲る。


銃口の先には、力なく膝から崩れ落ちるサルタの姿があった。


「ヘッドショット決まったねこれ!」

ザギはサルタに近付き、殺害を確認する。


「あらあら、兜まで貫通しちゃって"穴"があいてるじゃん(笑)。」

ザギはサルタの顎の下を手で持ち上げ、顔を見る。


「あれ?メガネしてるから分からなかったけど、結構イケメン?

まだ死にたてホヤホヤだし、唇の一つや二つ、奪っちゃおっかなぁ♥️」


ザギはポケットからリップスティックを取り出し、自分の唇に青い口紅をコーティング。


そしてサルタの顔に自分の顔を近づけていく...


(美味しそうなお顔♥️)


「あれ?」

ザギが違和感を感じたのは、顔がある距離から近付かないことだった。


「...!イッ!...たぁ...」

恍惚とした表情から苦悶の表情へと一変する。


(こいつ...死んでない...!)


サルタの片手は、ザギのツインテールをがっちり掴んでいた。

そして、もう片方はザギの背中から胃、膵臓辺りを貫く剣を持っていた。


「残念、死んでません。」

サルタはザギの耳元で囁く。


「うぐっ...あんた...クソッ!」

ザギは堪らずサルタに前蹴りを放ち、自分から剣を抜くと同時に距離をとった。


「ハァ...ハァ...痛っ...」

(アマルガム化しなてない本体を傷つけられた...流石の私もこれ以上本体が傷つくと、命に関わってくる...)


(でーもね、まだ私にはとっておきの必殺技があるの!)


ザギは途端にサルタに向かい、土下座した。


「...なんのつもりだ。」


「ねぇねぇサルガタナス様ぁ、どうか許して下さいませんかぁ...私、サルガタナス様の下僕(いいなり)になりたいなぁ...」


ザギはサルタにすり寄り、誘惑を開始する。


(フフッこの私の可愛いビジュアルから繰り出される誘惑、そして幼女を斬りつける背徳感から、大抵のヒトはこれでイチコロ♥️)


(しかもコイツは、ヘスティオとかいう幼女が大好きな(スーパー)ロリコン!効かない筈がないのよ。)


「ねえ、なんでもするよ?勿論、このカラダも好きにしていいんだよ♪」


そして、大抵の男は「なんでもする」と聞くと、定石のコンボを想起しちゃうのよねぇ、バカの一つ覚えみたいに、ね♪


「...」


(もう落ちた、これで私の勝...ち...

......あれ、頭がボーッとして...)


サルタの剣は、ザギの脳天に深々と突き刺さっていた。


「此所は戦場。こんなことに現を抜かす場所ではありません。それに生憎私は幼女を斬りつけることを咎める良心も持ち合わせていない。」


(誘惑が...効かなかった...の...か...)


「あと、私はヘス専属のロリコンだ。勘違いするな。」


(あ、あんた...推しを一点に絞る生粋のロリコンか...よ...)


ザギは地面にガクッと膝をつき、力なく座り込んだ。


「あーあ...くだらない人生...てか、こんな見た目じゃあそもそも人でも...ない...か...」

透き通った目の少女は溶け落ちる右腕の金属を見つめた。


四肢を構成したアマルガムが溶け落ち、遂にザギは首と胴のみになった。

「かっ神様...っ...次はちゃんとした"人間"が...いいな...」


(戦場に死は付き物だが、これは流石に後味が悪いな...普段はよく動く私の脳も、かける言葉だけはどうも思い付かない。)


サルタは剣についた血を払うと、五角天の一角を落とした報告に向かった。

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