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大海の鯱、井の中を知らず  作者: 異端(ヰタン)
端書
1/85

裏プロローグ ~伏線の張り処~

始めよう。

                 端書


同志の皆さん、進捗如何でしょうか。

この度拙作を執筆するに至りまして、駄文が目立つかもしれませんが、どうか海のように広い心を以てご覧になって頂けると幸いで御座います。


              ~親愛なる我が友~





✝️


(※✝️は場面転換の時の記号。

つまり、この記号を打つことで世界は変わるということで御座います。)





第5戦紀創成年1/5


これは物語の舞台となる地の現在の年。

ここでの世界における年の数え方を読者諸君に示しておく。




                  空前



    第一次王権奪取戦争→  ------



                 第1戦紀



    第二次王権奪取戦争→  ------



                 第2戦紀



    第三次王権奪取戦争→  ------



                 第3戦紀



    第四次王権奪取戦争→  ------



                 第4戦紀



    第五次王権奪取戦争→  ------



           現在→   第5戦紀



(しかし第5戦紀というのは暦法に従った月日の数え方、必ずしも正しいとは限らない。)





✝️





今まで約5回の大規模戦争が地上で行われた。


それに基づいて年を数え、例えば第二次王権奪取戦争が終わって翌日なら第2戦紀創成年1/1となるという算段だ。


因みに、「空前」というのは最も古い史料の第一次王権奪取戦争よりも前の時代、まだ研究が行き届いていない時代のことを指す。

そして、今は第五次王権奪取戦争が終わって間もない頃の「第5戦紀創成年1/5(1月5日)」という訳である。



それでは始めよう。

我が闘争を。



鷹揚の御見物をお願い致します。





✝️






王朝と革命軍との大規模戦争。


曾て無い惨禍は、天から驟雨の如く降り注いだ幾筋の閃光と、一人の少女の献身によって畢りを迎えた。


その傷痕は戦場にありありと残っていた。

赤い草々が指し示す先には戦いの激しさを示す大地の弊竇。


やけに禍々しく輝く月灯が、荒れた草原を抉る。

戦乱の傷痕、焼け野原に反しその城は遠方、尚も毅然と聳え立っていた。



そんな死屍が累積する野原を、一人の女戦士が王城へ歩いていく。

その女性は、所々赤みを帯びた鎧を纏っており、上腕には革命軍のシンボルマーク、


           ─カップシャッフル─


を携えていた。



(この風景は、一戦士として素直に喜んでいいのだろうか...

私は解らない、この勝利を喜んで良いのかすらも...)


戦争の孑遺がまた一つ、歴史の一頁となった。

人類の負の歴史がまた一つ、この地に刻まれた。


足元に臥す屍は笑っていた。


女騎士は、紅い草原を覆う死臭と、立ち昇る葉巻の煙を避けながら歩みを続けた。




 





✝️







~第5戦紀創世年1/5~




王城下は王権奪取戦争から5日経った今も勝鬨の宴で賑わっていた。


雑踏から、「あっ!アンジェラさんが帰ってきた!」という声。

ど同時に宴の中の兵士達がさらにどよめき始めた。


そしてあっという間に女戦士は群衆に囲まれる。



「アンジェラさんも一緒にどうです?」


「女幹部さんと酒を呑み交わせるとかテンション上がるぜ~」


横に座っていた女の子が今の発言の主を睨みつけた。


「これで幹部は全員生き残ったってことか?」


「いや、まだ一人帰ってきてねえんじゃねえか?

ま、今回の戦争を無事に乗り切れただけでも御の字だ。なぁ、アンジェラさん。」



「わ...私は...

...これから重要な会議があるのでな、すまない...」

そう言い残すと、後ろで束ねた金色の髪をなびかせ、女戦士アンジェラは城へと歩を進めた。


(王城内の一室に幹部が召集された...まあ何の用かはだいたい見当がつく。)







✝️







「戦闘指揮、アンジェラ入ります。」



部屋には革命軍のリーダー、デーメーテール・オウラを中心に、幹部三人が鎮座していた。


入ってきたアンジェラをデーメーテールのその端正な顔が見上げる。

救護のヘスティオは同じく可愛らしい童顔で見つめる。

戦闘奉行のアドラメネクはニタニタ笑いながら睨め上げる。


そして参謀のサルガタナスは頬を赤らめ眼鏡ごしにヘスティオを見つめた。



「皆さんは、やはり万歳気分ではないようですね。」

アンジェラはデーメーテールに話しかける。



「まあ、要件は薄々気づいてるだろう、」

デーメーテール(以下デメテ)はサファイア色の長髪を耳に掛けながら返した。



「ま、まあ皆さん、勝利は掴んだのですからもうちょっと柔らかくなりましょうよ~(汗)」

ヘスティオ(以下ヘス)は暢気に椅子に腰かけて浮いた足をバタバタさせている。


他三人が苦笑いをする中、サルガタナス(以下サルタ)だけは頬杖をついてその愛らしい少女に見惚れていた。



(今日もヘスティオちゃんは可愛いなぁ...)

この男はこの期に及んで何を考えているのか。



「幹部は7人、あと3人はどこで道草食ってるんだ...」

アドラメネク(以下アドラ)は肺に溜めた空気を一息に放出した。


その時、扉の向こうから、



「監視官アーレス、入ります。」

という凄みのある声が聞こえ、

高身長のスラッとした白髪の男が入ってきた。


「アンジェラ、<生きて>いたか。戦場でも<イキって>いたか?」

意外と真面目な顔ですっとんきょうなことを唐突に話すこの男は先述の通りアーレス(以下アレス)である。



「韻を踏まないと話せないのかお前は...それとイキってねえよ」

アンジェラは肩を竦めてやれやれといった表情をした。



「うーん、幹部6人いるし、時間も時間だし、モロクも頑張ってたし、会議を始めようかな...あとサルタはいつまでヘスを見ている...」

デメテは待ちくたびれた様子でヘスの煎れた紅茶を飲んだ。



「ハッ...!も、申し訳ありません。いや、しかし私はヘスを見ていたのではなく、空中に浮かぶ興味深い分子の観測を試みていたのです。」

ずれた眼鏡をかけ直しながらサルタは必死に弁解(?)した。



「こいつら...救いようねえな...」

アドラは心の中で思った...と思いきや口に出た。


「......な、なあ?外の宴会気分の尖兵共はなァ?ヘヘッ...」


「危なかった...ヤベェヤベェw」



彼には心の声がだだ漏れというかなり難解な癖があるのだ。



「お前が一番救いようないわ」

アンジェラが睨みつける。



「み、皆さん、始めないのですか...?」



「じゃあ始めるか、

まあ皆も何の会議かは解ってるだろう、」

デメテが切り出す。



「単刀直入に言う、」



空気が突然として詰まった。





「あれは誰だったのだ...?」







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