表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/29

4

ゲームの中では確かナタリーがアランにベタ惚れで、ヒロインに奪われそうになってもアランに縋って縋って縋り付いて、ひどく惨めに、そりゃあもう可哀想なくらいだったけれど、今の私はアランと出会っていない。

というか『あの』アランの本性を知っていたら、きっと恋なんてしない。


このままアランに恋をせず、婚約者にならなければうまくまとまったりしないだろうか。

そんな簡単な話じゃないのかもと思いつつも、何も材料がない分、そう考えるしかない。


「あとは……とりあえず、魔力封印された時のために武術も習おうかなあ」


神回避への努力は惜しまないつもりだけど、回避できなかった場合のことも考えといて損はないよね。

公爵家の令嬢が武術を習いたいなんて恐らくOKは出ないけれど、幸い、お兄様は武術を嗜んでいる。

護身術を教えて欲しいと頼めば、引き受けてくれるはずだ。


まだお兄様も8歳なので腕前はそんなにかもしれないけど、これから一緒に成長すれば問題なし!

あとは島流しで1人になった時に問題ないように、何事も1人でこなせるようになっておきたいな。


今までのナタリーは何から何まで全て侍女任せだった。

ナタリーというか、公爵令嬢というのはそういうものだ。


でもいつか公爵令嬢ではない未来が来てしまうかもしれない私にとって、世間知らずは死活問題。

特に前世でも料理は大してしてこなかった。

料理長に頼み込んで手伝いをさせてもらったりしよう。

あとはお裁縫とか、いわゆる女の子らしい趣味を前世では持ってこなかった。

手に職をってわけじゃないけど、できて損はない。

今までは駄々をこねて嫌がっていたピアノやヴァイオリンも習って損はないはず!


「なんだかやることいっぱいだなー」


ノートには楽器、お裁縫、料理、武術と拙い字で書かれている。

面倒だけれど、何かあった時のために10年かけてこれを立派に磨くしかない。

そしてアランに会うことがあれば、その時は『恋をしない』これに尽きる。


「ま、会うことがあればだけどね」


19歳のみなみならまだしも、5歳のナタリーにとっては恋など想像に程遠い。

どんなものか興味はあるけれど、死ぬかもしれない相手との恋はさすがにごめんだ。


「アラン以外にも攻略対象はいるものね。あんまり出会わないようにして、出会っても恋はしないんだから」


固い決意を胸に、私は10年後へ向かって歩み始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ