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第三十八話 ラジタリウスへ

 ウィリアムは項垂れながら王城に呼び出されてからの経緯を語った。

 そして、ついでのように本来の要件も語った。


「結局、呪いの詳しい内容も根掘り葉掘り聞かれた……。提督には爆笑されるしで最悪だ」


 肩を落としたウィリアムを慰めるようにユリウスは背中を優しく叩いた。


「仕方ないさ、何れはバレたことだ。それが少し早かっただけだ」

「そう……、そうだな。くよくよしても仕方ないな。よし、依頼のこと考えよか」


 いまだ、ダメージを引きずっているウィリアムだったが、頭を切り替えるように依頼のことを考えようと自分から言いだした。

 今回の依頼は、ラジタリウス王国の王立図書館に所蔵されている魔導書を春虎が全属性の魔力で写すことだった。

 そのため、これからの進路は呪いの腕輪探しからラジタリウス王国へと変更された。

 航行日数は、本来予定していたものよりも短いため物資の買い足しは不要だった。


 これからの航行について説明するため、クルーを食堂に集めラジタリウス王国に向かうことを話した。


 クルーたちは、女王の依頼なら仕方ないと全員が納得した。

 翌日、ゴールデン・ウルフはラジタリウス王国に向けて出航した。


 航行は順調に進み、予定通りにラジタリウス王国の港についた。

 王都に一番近い港街である、ニルドニアにゴールデン・ウルフを停泊させてそこから馬車で王都のマルキニアスに向かうことになった。


 王都に向かうメンバーは、ウィリアム、ユリウス、春虎の三人を最初は予定していたが、秋護が「日常会話は出来るとはいえ、完璧とは言い難い。そんな中、船に残るのは心もとない。だから俺もついていく!!」と言って、春虎たちに同行することとなった。


 ウィリアムたちが不在の間は、ゴールデン・ウルフはバルドが監督することとなった。

 ユリウス曰く、「水夫長が船を見てくれるなら安心だな」ということだった。


 馬車に揺られて、数日で王都に到着した。

 馬車旅は、春虎にとっては特に問題はなかったが、秋護は「尻が痛い!!尻が割れる!!」と慣れない馬車に泣き言を言っていた。

 それに対して、春虎は何くれと無く面倒を見ていた。

 そのことにウィリアムはまた、やきもちを焼き、ユリウスが仕方ないと慰めるといった状況ではあったが。


 王都につくと、女王が手配していたのか迎えのものがやって来て高級宿に案内された。

 案内されていた宿は、最上級の部屋でリビングに、2つある客室とバスルームにトイレがついた豪華な部屋だった。

 部屋は1つが広めの部屋に2つのベッド並んだ部屋で、もう一つが広々とした部屋の中央に天蓋付きの大きなベッドが1つある部屋だった。

 部屋割りは、いろいろ揉めた結果、ツインの部屋がウィリアムとユリウスで使い、天蓋付きのベッドの部屋は春虎と秋護で使うことに決まった。

 部屋割りの決め手は、ユリウス曰く「体格的にこれしかない」ということだった。

 王都についたのが夕方ということで、中央図書館に赴くのは明日にすることになった。

 この日は、高級宿にあるレストランで夕食を取ることになった。


 レストランで食事をとっていると、四人に声を掛ける人物がいた。


「久しぶりだな。お前たちが来るとは思わなかった」


 そこに現れたのは、ラジタリウス王国の提督代理を名乗っていたレオール・ファティマだった。

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