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第三十二話 魔法適性②

「お前達、進捗はどうだ?」


 部屋に入ってきた女王陛下は、内心では悶え転がりたい気持ちを必死に押さえ、女王陛下モードで宰相に状況を尋ねた。

 宰相は、秋護の事で分かっていることを報告した。

 そうしているうちに、手配をしていた検査の用意が出来たため、春虎が付き添いながら、検査を進めていた。


 女王は、宰相と話しながらも目線はウィリアムとユリウスに注がれていた。


(さっきの、ユリウスが口元を拭っていたのはどういう状況だったのか後で宰相に詳しく聞かなければ)


 そんなことを考えつつ、宰相の話を聞いていると、宰相が眉間にシワを寄せて言った。


「はぁ、陛下聞いていますか?また、いつもの病気ですね?」

「きちんと聞いてるぞ。宰相、とりあえず取引についてはこのまま検討を続けよう。それと、シュウゴの事はひとまずハルトラと提督代理殿に任せておこうか」

「分かりました。陛下の仰せのままにいたします」

「うむ。それと、さっきの状況について詳しく!!」

「今日のお仕事が片づいたら、その時にお教えします」

「くっ!!宰相……。やるようになったな」


 女王は先ほどの状況がとても気になっていたため、宰相に乗せられる形で仕事に取り掛かるべく、名残惜しそうに部屋を出て行った。


 その間も秋護の検査をは進められていて、結果が出たところで春虎がその内容を伝えた。


『秋護さん、結果が出ましたよ。えっと……』




【検査結果】

 火、適性あり

 水、適性あり

 土、適性あり

 風、適性あり

 闇、適性あり

 光、適性なし

 伝道師としての可能性あり




 春虎は、結果の書かれた用紙を読み上げた。

 結果を聞いた秋護は、少し残念そうだが、それでも嬉しそうにしていた。


『あ~、残念。全属性じゃなかったか~。でも、この結果はうれしいな。それと、この伝道師ってなんだろう?』


 秋護の疑問に春虎も頭を悩ませた。春虎も結果が出てときに謎な注釈があったことを思い出した。最終的には気にしない方向に決めたが、秋護は気になったようで春虎に問いかけてきた。


『春虎ちゃんは、何か書かれていた?』

『はい、『固有能力を拡張できる可能性あり』と書かれていました。ですが、何を指しているのかはよくわからなかったです』

『そっか、伝道師ね~。まさか、俺の趣味をこの世界で広げてしまうとかか?まさかな……』

『秋護さんの趣味ですか?』

『いや、特に凄い趣味じゃないから……』


 秋護があまり聞いて欲しくないような態度だったため、話を変えることにした春虎は、これからの事について話した。


『レオールさんから、秋護さんの言葉の勉強は秋護さんの覚えたい言葉を覚えるようにということだったんですが、どちらを勉強しますか?』

『う~ん。そうだな、春虎ちゃんはこの国で生活しているんだよね?』

『一応はそうですね』


 春虎の微妙な回答に秋護は首を傾げた。


『一応?』

『えっと、所属はイグニス王国になると思いますが、私はゴールデン・ウルフという私掠船に乗っているので、この国で生活しているというのもちょっと違うような感じです』

『へぇ~。でもどうして?』

『すみません。言っていませんでしたね。船に乗せてもらうことになったきっかけが、願いの叶う宝珠というものを船長が探しているという話を聞いて、その宝珠の力で元の世界に戻れるのではないかと考えて、船に乗せてもらうことになりました。』

『そっか、それなら俺も一緒にそれを探したいかも。そうなると、覚えるべき言葉はイグニス王国のものだな』

『分かりました。船長に相談してみますね』

『よろしくな』


 こうして、秋護の勉強の方針と今後の事について秋護の気持ちが決まった。

 決まったことをレオールに報告し、ウィリアムに秋護の乗船について相談をすることにした。


「レオールさん、秋護さんはイグニス王国の言葉を勉強したいということです」

「分かった。彼がそうしたいなら協力してあげてくれ」

「はい」


 レオールに報告をした後にウィリアムの方に向き直り、秋護の乗船希望について相談をした。


「そっか、二人は同郷なんだな。いいぞ。ただし、乗船は言葉を覚えてからだ。そうでないと、他のクルーとの意思疎通が出来ないからな。いつもハルが間に入る訳にもいかないだろう。それと、ラジタリウスの使者の返事もあるから、それを聞いてから大丈夫そうであればギルドに行こう」

「そうですね。分かりました。それでは、当分は言葉の勉強ってことですね」


 方針が決まったところで、時間も遅くなってきたことから春虎達は船に帰ることにして、秋護達にはまた明日来ると言って、部屋を後にした。


 それから王城から船に戻る間、ウィリアムはいつ以上に春虎を構った。

 それを見ていたユリウスは、これからのことを考えて少し頭が痛くなったのだった。

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