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第十八話 地下へ

 ウィリアムの指示でこの日の探索を終えて、野営の準備に入った。

 春虎は、亜空魔術でしまっていた食材をだして、調理を始めた。

 この日は、串焼きと具だくさんスープとパンで夕食にした。

 春虎は、夕食後に魔生物を殲滅した時に疑問に思ったことをユリウスに聞くことにした。


「副船長、前に魔石は魔力を持った動植物の死骸が結晶化したものって、魔道屋の店主さんに聞いたんですが、それって」

「ああ、想像の通りだ。今日倒した魔生物だな」

「結晶化はどうやったらできるんですか?」

「それは、魔石技師の仕事だな」

「魔石技師ですか?」

「ああ、魔生物の死体から魔石を抽出することが出来る技術者がいるんだ。だから、一般的に、魔石にする方法は知られていないんだ」

「なるほど、結構な数の魔生物を倒したので、アレを魔石にすることが出来れば、魔道燃料になると思ったんですが……」

「まぁ、あれだけの魔生物から魔石を取れれば、燃料代を他に回せて助かるが、方法がないしな。それに、魔生物をの死体を船に積んで航海はしたくないしな」

「もしかして、他の魔生物を呼び寄せるってことですか?」

「そういうことだ」

「なるほど……。もしですよ。もし、たまたま魔石が取れたりしたら問題になりますか?」

「ん?どういうことだ?」

「えっと、抽出方法が秘匿されていて、許可のない人間がおこなってはいけないとかです」

「特に、そう言う決まりはないな」

「分かりました。ありがとうございます」


 倒した、魔生物の有効活用の方法が無いと分かり少し、がっかりした春虎だったが、いつか魔生物から魔石を取り出せる方法を考えてだして試してみたいと考えたのだった。


 そして、今日もウィリアムに抱えられながら眠りに着いた。


 翌日、朝食後に地下に続く階段の先の探索を開始した。


 ユリウスと春虎の火属性の魔術で明りを作り出し、階段を下りて行った。

 少し進んだ先で行き止まりとなったが、そこには鉄の扉があった。

 ウィリアムが扉を開けようとしたが、鍵で施錠されているようで開けることが出来なかった。


「鍵が無いとどうにもできないな。ユーリ、魔術で扉壊せそうか?」

「無理だな。上に鍵はなかったし、これは詰んだか?」


 二人が扉の前に話しているよこで、扉の鍵を見ていた春虎が何かを始めたのをみてウィリアムは声を掛けた。


「ん?どうした?」

「えっと、この鍵の仕組みが思ったより簡単なので、ちょっと待ってくださいね」


 そう言って、鍵穴に影から取り出した針金を入れて動かしていると、カチッと音が鳴ってから鉄の扉が開いた。


「ハル坊は、鍵開けも出来るのか……」


 春虎の鮮やか過ぎる手際に唖然とするユリウスだったが、またもやウィリアムの能天気な発言で我を取り戻すことになった。


「凄いな、ハルが居れば俺達は無敵だな!!」


 しかし、春虎は少し眉を下げた困り顔で言った。


「でも、この技術はあまり褒められた物ではないので、必要に迫られた時しか使いませんからね」


 春虎の言葉に、その場にいたウィリアム以外の全員が思った。


 ―――この子は本当にいい子だな


 ウィリアムはというと、そのちょっと眉を下げた困り顔が可愛いと思考が斜め方向に向かっていたのだった。


 こうして、春虎の活躍もあり鉄の扉を開けることが出来た一行は、扉の先に向かった。

 しかし、扉の向こうには、思いもよらない光景が広がっていたのだった。

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