009 スカウトされちゃったみたいです
アスフェン卿の屋敷があった町、エネミアからそう遠くない山中。
帝国十二神将の一人、ラート・ネジャンミスの隠れ家はそこにあった。
彼は隠れ家に潜ませておいた機兵のコクピット内で、自分の腕を枕にして目を閉じている。
魔力を流していないため、中は暗く静かで、ゆえにここは彼にとって最も安らげる場所だった。
どんな場所に行ったって、ここの環境だけは変わらないのだから。
だがラートの安らぎを阻害するように、ピピピッとコクピット内に電子音が響く。
魔力を流さずとも、通信装置だけは機動してしまうのだ。
非常時でも使用するためにそうしてあるのだが、一人きりの時間を謳歌していたラートは舌打ちをせずにはいられなかった。
彼は眼前に表示された、アラームとともに明滅する少女の顔を模したアイコンに触れる。
『あー、あー、マイクテスマイクテス』
「そういうのいいから、要件だけ言ってくれないかなティティグ」
『ジョークが通じないやつだにゃあ、そんなんだから友達できないにゃよ?』
「その口調のお前には言われたくない」
声の主はティティグ・トランガー。
ラートと同じ帝国十二神将の一人であった。
彼女は現在、彼は別の地域で任務についている。
特に二人は仲がいいわけではなかったが、ティティグはとにかく馴れ馴れしいやつで、相手を問わず、こうして通信をよく飛ばしていた。
彼女自身、その行動がうざったいと思われていることを認識した上でやっているのだから、かなり悪質である。
『そっちはうまくいってるかにゃあ?』
「問題ない、完璧だ」
『ふーん、でも組んでたアスフェンとかいう男の屋敷が無くなったって聞いたにゃよ?』
ラートは苛立たしげに歯ぎしりをした。
つい昨日のことだというのに、すでに掴まれているとは。
気に食わないやつだったが、その能力の高さだけは認めざるを得ない。
『手助け、いらないかにゃ?』
「そんなものは必要ない」
断言するラート。
「奴はボクの傀儡の中でも最弱……」
『雑魚っぽいセリフにゃ』
「うるさいな! とにかく問題ないと言っているだろう! 送還者は、必ずこちらで仕留めてみせる」
『そうかにゃ、じゃあ頑張るにゃー』
投げやりに言い放つと、ティティグは通信を切った。
助けなど必要ない。
憂いなど皆無なのだから。
「すでに近辺で大きな権力を握るあの男も、ボクの手の内にある。負けるはずがないんだ。ボクのためだけに作られたこの第三世代機兵“ムシカ”と、歴史書さえあれば」
彼が手のひらを広げると、半透明のキューブが浮かび上がる。
微かに光を放ちながらゆっくりと回転するそれを見て、ラートは優越感に浸りながら口角を釣り上げた。
◇◇◇
アスフェン卿との戦いの翌日、昼すぎ頃に核へ入った私は、いきなり現れた物体を前に立ち尽くしていました。
それは、“銀色の筒”としか言いようのないものです。
どうやら中には水がなみなみと注がれているようで、それを下の方に取り付けられた蛇口からコップに注ぎ、魔族たちは水分を補給していました。
水は、魔術でどうにかしたんでしょう。
確かアイシャが水とか氷とかの魔術を使えたはずなので、彼女なら可能かもしれません。
そしてこの金属の筒は――まず核の中にあるものという時点で、材質は限られてきます。
私は周囲を見回しました。
あぁ……やっぱり、あれなんですね。
先日の戦闘で両手を損傷したヴィーリス。
今は技術者もいなければ予備のパーツもないので、私たちには修理をすることができません。
その壊れていた腕が、強引にもぎ取られていました。
つまりこの筒、もといタンクは、おそらくゴーレムさんの素材である、ミスリルで作られたものでしょう。
確かに水の確保は急務ですし、タンクがあれば便利だとは思いますよ?
でもですね、ミスリルって、とても高価なんですよ。
ヴィーリス一機でアノニス家の屋敷が建てられちゃうぐらいです。
つまり目の前にあるこれは、いわば“超高級タライ”とも呼ぶべきもので、全身全霊の無駄遣いとしか言いようのない代物なわけでして。
私が呆気にとられていると、真横にはいつの間にかスノウさんが立っていました。
ドヤ顔です。
今までの人生で見たこと無いぐらい、見事なドヤ顔をしています。
「どうじゃ?」
「どう、とは」
「これで当面の水の問題は解決じゃ、我ながら妙案と思ってな」
「いや……あの、スノウさん。ミスリルのお値段はご存知ですよね?」
「うむ、知っておる」
「知っててやったんですか!? じゃあ、だってこの量のミスリルを売ったら、かなりの収入になって、何倍も大きな鉄や銀の塊が買えちゃうってことも……」
「わかっておる。じゃが、ミスリルを使うことで、こう……人間の叡智を踏みにじっている感じがして優越感に浸れるじゃろ?」
「そこで魔王アピールしなくていいですから!」
珍しく大きな声を出してしまう私。
一瞬でごっそりと体力が持ってかれた気がします。
すると声に引き寄せられたのか、フレイとアイシャまでも現れました。
もちろんその顔は、見事にドヤ顔でした。
「あたしが熱して、アイシャが冷やす。そうやってこの形を作り上げたんだぜ!」
「コンビネーションの勝利です」
この三人、ひょっとすると一見して性格が違うようで、その根っこは似てるのかもしれません。
まあ、みんなが達成感を得られたのなら、それでもいいのでしょうか。
どうせ……またヴィーリスぐらいなら、手に入るでしょうし。
「ときにアナリアよ、核の中に来たということは、何か用事でもあったのか?」
「いえ、特には。ちょっとテーリアの様子を見に来ただけです」
アスフェン卿の屋敷を手に入れたおかげで、魔族だけでなく、私たちも核の中で寝泊まりできるようになりました。
とはいえ、アノニス家の屋敷があるので特にこちらに来る必要性は無いのですが、諸々の事情で、家族に音を聞かれる心配のない場所で寝泊まりするのが良いだろう、という結論になりまして。
そんなわけでテーリアは、昨日からこの屋敷の一室で、私と一緒のベッドで寝るようになったのです。
そして、朝に兄様と両親に軽く挨拶したかと思うと、またこちらに引きこもってしまいました。
家族には『お姉さまの部屋で本を呼んでいる』と伝えてあるようですが、ちょっと心配になってしまいまして、様子を見に来たというわけです。
「そういえばあやつ、『お姉さまの中は最高ですわぁ!』とか言って朝からずっとここにおるんじゃったな」
テーリアは、ここにいると私の匂いがするとか、包まれてる気がするとか言ってましたが、たぶん気のせいだと思うんです。
うーん、妹の愛が重い。
受け止めると決めましたが、細い私の手足で耐えられるかどうか。
「まあ、あやつの愛情表現はなかなか激しいようだからのう。困る姉の気持ちもわからんではない」
「ですが肉体関係という形でそれを受け止めておられるアナリア様は、やはり素晴らしいお方だと思います」
「やっぱり姉妹は愛し合ってこそだよな!」
魔族と人間の致命的な倫理観の違いに、私は恐れおののかざるをえませんでした。
本当にそれが、魔族にとっての常識なんです。
いや、実際にテーリアとそういうことをしちゃった私が言えたことではないんですが。
これ以上巻き込まれると、さらに私の感覚までどうにかなってしまいそうだったので、私は適当なところで会話を打ち切ると、屋敷に駆け込みました。
そして二階にあがり、私たちの新たな自室となった元客間へと向かいます。
すると目当てであるテーリアが、部屋の前で何やらニヤニヤしているではないですか。
彼女はまだ私に気づいていないようなので、観察してみます。
「んふふ……えへへへぇ……」
ニヤニヤどころか、盛大に声を出して笑ってますね。
しかも紅潮した頬に手を当てながら、メトロノームのように体を揺らしています。
「お姉さまとわたくしの名前が並んでる……ふふふ、まるで夫婦みたいですわぁ……」
ああ、なるほど。
部屋の前にかけられた、私とテーリアの名が書かれた木の札を見てたわけですね。
あれは昨日の夜、魔族の方々に頼んで、例の木材で私が作ってもらったものです。
屋敷の中は部屋が多くて、誰がどこを使うのか、わからなくなりそうでしたから。
それだけでここまで喜ぶなんて、テーリアってば本当に私のこと好きなんですね。
たまーに愛が重いですけど……そこまで好かれて、嬉しくない姉はいません。
私はいたずらっ子の気分で足音を消して彼女の背後に近づくと――ぎゅっ、とその体を抱きしめました。
「ひゃうんっ!?」
声を上げ、盛大に驚くテーリア。
「ふふふ、いたずら大成功です」
「お姉さま……もう、声ぐらいかけてくださいませ!」
彼女は顔を真っ赤にしながら、頬を膨らませました。
私が人差し指で、その柔らかいほっぺたに触れると、ぷしゅーと空気が抜けていきます。
そしてすぐに、彼女はにっこりと笑いました。
「でも、お姉さまから抱きしめてくれて嬉しかったですわ」
「私も、表札だけで喜ぶテーリアが見れて、楽しかったです」
「み、見てましたのっ!? ううぅ、さすがにそれは恥ずかしいですの……」
恥じらい俯くテーリアが愛おしくて、私は抱きしめる両腕にさらに力を込めました。
例の表札、確かに名前が並んで書いてあるのも嬉しいですが、板がハート型なのもポイントですよね。
こんなの絶対に、アノニス家の屋敷には下げられませんもん。
本来はできないことだからこそ、見るだけでニヤけてしまう――テーリアの気持ちがよくわかります。
「……ん、お姉さま」
「テーリア?」
しばし背中から妹を抱きしめていた私でしたが、彼女の方から離れてしまいます。
少しさびしい思いをしていると、今度は正面から私の胸に顔を埋めました。
なるほど、向き合いたかった、と。
そのまま息を思いっきり吸って、大好きな匂いを肺に満たしたテーリアは、「はふぅ」と熱の籠もった息を吐き出します。
そして顔を上げ、上目遣いに、潤んだ瞳で私と視線を絡めました。
すでに何度かしてきましたから、妹が何を望んでいるのかは、とっくにわかっていました。
私は自ら唇を寄せ、柔らかく、しかし弾力のある桃色の花弁に押し付けます。
「んっ……」
テーリアは甘く鳴きました。
触れ合っているだけで、私にも彼女の熱が伝搬してきます。
顔だけではなく、体全体が熱くなって、理性を溶かしていくんです。
さらに心臓も高鳴って、どくんどくんという音が聴覚を支配し、テーリアの発する音以外を全て遮断してしまいました。
こうなるともう、私では私を止められません。
それを知ったのは、つい昨日のことです。
手が自然とテーリアの臀部を撫でて、私が手のひらに吸い付くその感触を堪能するたび、彼女の体がぴくりと震えます。
同時に漏れるくぐもった声が、さらに私の感情を滾らせました。
唇を離すと――妹が情欲に潤む瞳で、こちらを見てきます。
「しますか?」
テーリアは、こくりと頷きました。
まだ昼ですが、どうせここなら誰も聞いていません。
私は彼女の手を引き、自室のドアを開きます。
そして部屋の中へと彼女を導くと――ベッドに腰掛けた先客が、中指と人差し指の間に親指を挟みながら言いました。
「おっ、3Pじゃな?」
「お死にくださいませ!」
スノウさんに向けて、壁にかけてあった剣を躊躇なく投げつけるテーリア。
回転しながら飛翔したその剣は、見事にスノウさんを捉え、彼女はすんでのところで体を傾け回避しました。
鋭い刃が木の壁に突き刺さります。
いくら観賞用とは言っても、その殺傷力はなかなかのようです。
「おい、今の当たったら死んでおったぞ? 我、死んでおったぞ!?」
「殺すつもりですから当然ですわ!」
いい感じの空気は台無しです。
もっとも、スノウさんの場合、空気を乱すためというより、本気でそのつもりで待ってた可能性もあるのですが。
いつか押し切られたりするんでしょうか、あまり考えたくない未来です。
「まあまあ、そう殺気立つでない、別に冷やかすために待っておったわけではないのだ」
「というかスノウさん、どうやって部屋に入ったんですか? さっきまで外にいましたよね」
「そんなもの、窓から侵入したに決まっておろう」
堂々と侵入って言いましたよこの人。
それしかないとは思ってましたけど、今度から厳重に戸締まりしないといけませんね。
「それで、不法侵入してまで伝えたかった話とはなんなのです? くだらない話でしたら、今度は平手でひっぱたきまわよ」
「これじゃよ」
スノウさんは服の胸元に手を突っ込むと、一通の手紙を取り出しました。
どこに仕舞ってたんですか、それ。
「ヒージュ伯爵とやらから、アスフェンに送られていた手紙じゃ」
「それ、なんて書いてあるんです?」
目を凝らしますが、私には読めませんでした。
文字が小さいとかではなくて、中身が滅茶苦茶で、支離滅裂だったんです。
「暗号じゃな」
「それだけ大事な手紙だったということですわね」
「ティサに解読を頼んだら二十分もせぬうちに戻ってきたがな」
なんやかんやでみなさん、スペック高いですよね。
「それで、内容は……」
「うむ。どうやらアスフェンの持っておったゴーレム、このヒージュ伯爵というやつから流されたものらしいぞ」
薄っすらとそんな気はしていましたが、はっきりと告げられると、驚かずにはいられません。
「アスフェン卿だけでなく、ヒージュ伯まで……どうしてそこまで私たちを目の敵にするんでしょう」
「まあ今回の、その裏に妙なやつらが付いておる可能性はあるな。じゃが、ひとまずはそのヒージュを追うべきじゃろ」
「……やっぱり、追うんですね」
「魔族が滅ぼされかけたこと、おぬしたちの命が狙われたこと、それらは繋がっておる。まあ、無理にとは言わんし、おぬしの場合はここに引きこもっておれば無事じゃからのう」
「でも放って置くのは気持ち悪いですし、アスフェン卿はともかく、なんでヒージュ伯ほどの権力者が私たちを狙うのか、とても気になります」
「ならば決まりじゃな」
ですが、決まりと言われても具体的にどうすればいいのやら。
体一つで侵入するのは簡単ですが、ヒージュ伯の領地は非常に広いです。
アノニスとトレミュラーの領地を足したって、全然敵わないほどですから。
それをくまなく探索していくとなると、かなり時間がかかってしまうでしょう。
時間をかければ、それだけ私たちの存在を知られてしまう危険性もあがります。
でれきば、気づかれる前に終わらせてしまいたいものですが……。
ひとまずテーリアとともに核から出た私は、兄様に相談してみることにしました。
まずは兄様の部屋に――と思って自室を出ようとすると、目の前のドアを誰かがノックしました。
「私だ、アナリアはいるか?」
うわ、すごいタイミング。
奇跡的に、兄様も私に用事があったようです。
ドアを開くと、彼は手に持った手紙をこちらに渡しました。
「これは……」
「送り主はヒージュ伯のようですわね」
「すまないが、先に私が中身を確認させてもらった。これは私たちに向けての招待状だ、まだ父上や母上には伝えてないが、知られたら大騒ぎになるぞ」
「ヒージュ伯から、私たちに? ということは、兄様やテーリアにもですか」
「ああ、本来なら十代の人間しか入れない魔術学園だが、今回は特例で私の入学も認めると――無論、断るつもりだが」
中には、魔術学園への推薦状と、手紙が入っていました。
ミーネ魔術学園――それはヒージュ伯の領地内最大の都市であるミーネにある、国内に二箇所しかない魔術の学校でした。
魔術に関して教われるのはもちろんのこと、ここを卒業すると国に仕える魔術師――つまり王宮魔術師への道が開かれるのです。
王宮魔術師になれば爵号ももらえるため、魔術学園には国内から超優秀な魔術師たちが集まってきます。
この推薦状があれば、そんな場所に試験ナシで入れてしまうわけです。
「私はおまけだろうな。本命はアナリアとテーリアだ。二人ならこの誘いに乗るだろう、と踏んでこの手紙を送った可能性が高い」
確かに家を継ぐ兄様はともかく、私たちは今後、他所の貴族へ嫁がされるされるでしょう。
私はおじゃんになっちゃいましたけど、テーリアなんかは、魔術師としても優秀なので引く手あまたでしょうし。
……まあ、私との関係もあるので、おそらく全力で拒否するでしょうけどね。
だからこそ、嫁がずとも、独立した存在として権力を持つことができる王宮魔術師になる意味がある。
でも……無能核である私にも誘いがくるって、明らかにおかしいです。
しかも、アスフェン卿が……自殺してしまったあとだというのに。
もちろん、手紙が書かれたのは彼が死ぬ前でしょうけど、それでも――
「兄様、例の消えた屋敷が私の核の中にあるっていう話はしましたよね」
「ああ……それは聞いている」
「実は、その屋敷からとある手紙が見つかりまして。アスフェン卿に裏で支援していたのは、ヒージュ伯だったみたいなんです」
「なんだと!? ヒージュ伯が、アノニス家を潰すのに協力していた……?」
兄様の顔色が一気に青ざめました。
それだけ、ショックが大きい事実だったということです。
実際、ヒージュ伯が本気で私たちを潰そうと思えば、簡単に実現できるはずですから。
「つまりこの誘いは、罠か」
「ですがそうだとすると、お姉さま以外まで引き込もうとしている理由がわかりませんわ」
「そこなんです。もしかすると、確信は持てていませんが、疑っている状態なのかもしれません。アノニスの領地を守るために何者かがアスフェン卿を追い詰めたのですから、その犯人は――アノニスの家の誰かであるはずだ、と」
「なるほどな。しかしそうなると、断るに断れん」
下手に断れば、もっと直接的な手段を使ってくるかもしれませんからね。
それにこの家を空けるのは不安です。
ですが一方で、合法的にヒージュ伯の領内に侵入できるチャンスでもあります。
『アノニスよ、我は受けてよいと思うぞ』
スノウさんの声が聞こえてきました。
彼女は続けてこう言います。
『たとえ罠だったとしても、おそらくあちらはおぬしの力を全て把握したわけではあるまい。罠ごと粉砕してやればよいだけじゃ』
確かに――ヴィーリスに乗って暴れただけで、私はまだ全力を出していません。
魔族さんたちの力も手に入りましたし、テーリアが中にいれば光魔法も使うことができるのです。
恐れる必要など、無いのかもしれませんね。
「兄様、私はこの話を受けようと思います」
「お姉さまが行くのでしたら、当然わたくしもついていきますわ」
「アナリア、テーリア……いやしかし、かなり危険だぞ」
「承知の上です。ですがいざとなれば、私には逃げる手段もありますから」
ピンチになったとしても、核の中に引きこもっちゃえばいいだけですからね。
情けない姿ですが、ほぼ無敵です。
私が決意をした以上、兄様もそれ以上は何も言えません。
こうして私は、ヒージュ伯の誘いに乗って、魔術学園への入学を決めたのでした。