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飲み屋の窓から
海霧の降る街の古いビルのショボいスナックで、私はビールを呑んでいた。バーの様な店内でバーのような接客や、知識のない30も半ばも過ぎた女の店だ。他人事の様な説明になったけど、此処は要するに私の店だということ。今だに私が自分の店を開けたことが、不思議でならない。ずっと夜の街で、生きてきたけど、店を持つなんて夢も持っていなかった。見えない何かに背中をおされたような、押し付けられたような感覚。不思議な感覚だった。知らないうちに、チャンスの神様の前髪をつかんだのかもしれないし、貧乏神に好かれたのかも知れない。とにかく私は、あっという間に店を開いた。




