6話 めんどくさい
6話 「めんどくさい」
いくら制服を着ているとはいえ髪で目立つのではなかろうか?
さっきまで苦しんでいた生徒は弁当を放り投げてケータイで2人を撮っていた。
「なんだあいつら……」
「とりあえず犯人を探しましょう。」
せっせと探すラブを黙って見ていたクロスは誰かに話しかけられた。
「あの……この騒ぎは一体何なんですか?」
くまができた目にやつれた顔、天パなのか髪もボサボサで……
彼女はチラチラ周りを見ながらため息をついた。
「どうやらクラスメイトはいないようですね、よかった……。あの人が起こしてる騒ぎを私のせいにされたら困りますし。」
「あんた誰?」
「私は3年9組2番安藤美紀です。今は不登校中でして、なのにキャルローゼさんを捕まえなきゃいけなくて……」
「キャルローゼ知ってるの!?」
「はい。」
「私達も今探しててさ、一緒にあっちの方へ……」
「後ろにいますよ。」
「えっ?」
振り向くと本当に後ろにいた。
パーカーを被っているのにも関わらずうさぎの耳が生えていて、ガムを噛みながら短い髪をいじっていた。
「こりないね、お姉さん。私はあんたらの部には入らないよ。」
「お前!」
キャルローゼはクロスを横切り安藤美紀に寄った。
「私はこの人に助けられたんだ。」
「わかってないのか?二次元キャラは3次元とか変わっちゃいけないんだぞ?」
「どうでもいい。」
「てめぇ!」
「なんの意味があるの?」
「そっ……それは……」
「やっぱり何も意味無いじゃん、適当すぎ。本当にあのデスゲームのボスだとは思えない。友達から聞いたよ、性格がねじ曲がってて人を平気で殺せるやつだって。そんな人の言う事聞きたくない。」
帰ろうとキャルローゼは安藤美紀の腕を引っ張った。
クロスは何も言わずに突っ立っていた。
あとから来たラブが話しかけても動かないし話さない。
「クロスさん?犯人見つかりました?ちょっと聞いてます?」
クロスの目からは涙が溢れていた。