4話 ありがとうございます
4話 「ありがとうございます」
破片を1個1個とっていくが血が止まらずに少女は焦っていた。
「サチエ、救急箱……もう持ってきたのか。」
「大丈夫ですか?あまり傷口に触らないでください!」
少女は叫ぶサチエに怯え1歩引き下がった。
「手を出してください。この救急箱には二次元キャラ専用の治療薬が入っているので血も止まり傷も癒えます。」
恐る恐る出した手をサチエは握りしめ治療薬を傷口に当てた。
みるみるうちに傷が塞がっていく。
安心したメルとラブは割れたガラスの破片を集めていた。
外で見ていた警備員は色々疑問に思いながらもそっと見ていた。
少女は治っていく手を見た後サチエに軽くお辞儀をした。
「私どうやら廃棄されずにこの世界に来たようでとりあえずそこら辺の木を叩いてみたらあっさりと折れちゃって……怖くなったのでその場から逃げていたら……」
「ちょっと待って。場所を変えましょう、さぁ私につかまって。お2人は後で部室に来てください。」
サチエはそう言うと一瞬で消えた、のではなく部室に戻っていった。
メルとラブは警備員にすべてを任せて去っていった。
部室では、クロスが布団に丸まっていて、その横でサチエと少女が喋っていた。
「あ!おかえりなさい!ちょうど今この部に入らないかって言ってたところなの。」
「それで、入ることになりました。」
「アンタ受け入れが早いわね。まぁ悪い事じゃないと思うからいいんだけど……ノリで入っちゃダメよ?」
「真剣です。」
「あらそう。」
ラブは疲れていたのかため息をつき、チョコレートを食べ咳き込んでいた。
「あの……ありがとうございます。こんな私を素晴らしい仲間の一員にしてもらって……」
「素晴らしいか?」
あたりを見渡すと咳き込む少女、布団にくるまった少女、お茶をのんびり飲んでいる少女……そして額に手を当てるメル。
「そういえばお前、何者?」
「私はレイです。その……時々記憶が飛ぶことがあるんです……この学校に来たのも何故なのかわからなくて……」
「レイか……。」
「私は生まれた時から目が怖いと恐れられてきました。でも、私は誰よりも弱々しくて臆病だったんです……あ、漫画の設定がですよ?」
「あぁ……分かってる。」
「そんな私を迎えてくれて本当に嬉しかったんです。」
「そうか。ならよかった。」
メルとレイはお互い笑っていた。
メルの笑顔をちらと見たクロスはムスッとしていた。
サチエが戻る前。
「それは無理かな。」
「えー。」
「私はただこの世界でイタズラしたいだけなんだ。だから人助けとかゴメンだね。」
「なっ!」
クロスは机をバンッと叩いて立ち上がった。
少女はビクともしない。
「私には楽しい以外の感情がないようなもの。笑顔さえ誰にも見せたことがない。その、怒りの形相もね。」
「あんたの感情なんてどうでもいいよ。ただ人助けがどうでもいいことはない!」
「ふん。話が合わないみたいだから私は帰るね。」
少女は思いっきり扉を閉めて出ていった。
それからクロスは布団に入ったまま今に至る。