9話 「部長が風邪をひいた」
9話 「部長が風邪をひいた」
1週間ギスギスしていた空気も穏やかになってきた。
ラブがお茶を飲みながら話始めた。
「初代部長ってどんな人だったんですか?」
「透明人間になれたからいつどこにいるのかわからなかったな……。」
「実は私達、部長とはあまり話さなかったので何も知らなくて……。」
「部を作ってから1年くらい経ってどっか行っちゃってさ。置き手紙に二次元に戻るって書いてあったから探すことは無かったよ。ね?メル。」
「う……うん……。」
「どした?」
「頭が痛い。」
「風邪ですか?ならこの最速と言われた私が秒でとってきましょう!」
サチエは実際に1秒で職員室にある薬を持ってきた。
「お願いします!キャルローゼさん!」
「薬って食べ物の中に含められんの?それに私は味を変えるだけで中の成分は変えられないよ?」
「そうですか……。」
布団を用意していたクロスはメルを寝かせて下を向きながら喋った。
ちなみにクロスは今日の朝ようやく飛べるようになりそれからラブと目を合わせていない。ラブも同じく……。
「ラブ、少し目を瞑ってて。レイはそこら辺の空気を殴ってて。ほかの3人は何もしなくていいから。」
「なんでよ……」
そういいつつラブは目を瞑り、レイも何故か目を瞑りながら何も無いところを殴っていた。
「私は空を飛べるし空気には敏感なんだ。レイが殴ってくれている空気に異常を感じたら私のマントを繋げているピンで指すからそこだけをラブに見てもらう。」
「つまりどういうことですか?」
「空気じゃないなって私が思ったらレイの手を止めてラブに目を開けるよう合図する。どういうことかは後で分かるよ。」
クロスは顔をしかめクロスを抑え、ピンを出しラブの目を開けさせた。
すると何も無いところから人が出てきた。
「はっ!?誰!?」
「ふぎゃあ!」
「おー。これはナイスバディ……」
「キャルローゼ……あんたはおっさんか。」
イテテ……
「初代部長!!」
サチエ驚いてるし……。
クロスは初っ端から知ってたのかな?
メルは寝てるけど私がいるってことはわかってそう。
「え?この人が初代部長?」
そう。私がここまでの物語の語り兼部を見守ってきた初代部長!
その名も……
「で、なんで嘘なんかついてたんすか?初代部長。」
「あー……えと、私がいなくても大丈夫かなと思って……」
「だからってわざわざあんな手紙まで残して……」
「まぁ私は元々異世界転移委員会長でして、そちらの仕事が忙しくなったので部を抜けたんだけど空き時間にこうして透明人間になってここに来てたんだよ。」
「そうだったんですね……確かに部長がいなくなってから問題が増えたような気もします。」
「うん。でも能力が6時間使えなくなったのでしばらく戻れないね……」
「委員長とか偉いさんなら私の能力くらい知ってたはずでしょ?なのになんで目なんか合わせちゃったの?」
「さぁ?油断してたのかな?」
私は頭を少しかいて、お辞儀をした。
「てことで6時間部員としてよろしくねー。」
笑顔で誤魔化したけど大丈夫なんだろうか?
次回から2章が始まります。
6時間だけ二次元女子キャラ限定部員となった初代部長はなんの役に立つのでしょうか?
また新キャラも出てきます。
更新スピードは遅くなりますがこれからもよろしくお願いします。
ではよいお年を。