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帰ったらウチに美女がいた  作者: 西山 一
1/1

帰宅する

他の家事は苦でないのに、食器洗いだけは嫌すぎて、自炊することがなくなった。平日は会社帰りに外食するか、スーパーで割引された弁当を買って家で食べる中食ってやつをしている。最近、「中食」という言葉を知ったのでさっそく使ってみた。

今日は三割引のシールが貼られたミックスフライ弁当を買った。エビフライとコロッケと、あとの二つは分からないが、なかなかボリュームがある。魚の形をした小さなソース容器が可愛らしい。電子レンジに入れている間に缶ビールとグラスを用意して、昨夜録画した、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観ながら食べよう。

右手にバッグ、左手にレジ袋を持って家まで歩く。首周りの汚れが完全には落ちなくなったワイシャツ、部分的に革が剥げたローファー。結婚でもしていればこんな姿で歩くこともないだろう。それとも、こんな姿だから結婚ができないのか。「卵が先か鶏が先か」になってしまった。


レジ袋をドアノブに掛け、バッグから家の鍵を取り出した。今日も一日頑張った。鍵を差して回す、いつもこの瞬間が気持ちいい。

ガチャ。

あれ? 玄関の電気が点けっぱなしになっている。朝は出窓からの光があるから点けないはずなんだけど……。ん? 部屋の電気も点けっぱなし……?

「あ……」

「え? ……わぁ!」

テレビの前に白いニット帽を被った女が立っている。目が合って驚き、声を出してしまった。女は逆で、驚きで声が出ない様子だった。どうしてお前が驚くんだ。

「……誰?」

「……ここの住人の妹です」

「いや、妹いないから」

「じゃあ姉です」

「『じゃあ』って……姉もいないから。そして俺が住人だから」

なんなんだこいつ。二十代半ばくらいだろうか。女子大生に見えなくもない。服装は、ちゃんと意味を分かってはいないけど、「ゆるふわ系」ってやつっぽい。顔は、読者モデルレベルにはカワイイ。

どうしてこんなコがウチに……? なんとなくは気付いている。彼女は泥棒だ。黄色いゴムが点々と付いている軍手をしているからだ。ニット帽は髪を落とさないためだろう。

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