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第五話 ギルド



あれから数週間が経った。

『アレクストリア』から受けた刻印やエリぜの事は何の問題もなく、今はいつも通りやっている。近頃、父さんがよく家を開けるようになった。母さんに聞くと「仕事が忙しいのよ」と言われ詳しく教えてくれなかった。



「父様! どこに行くんですか?」

「ん? あぁ、アレスか…」



玄関で支度をしている父さんにすかさず声を掛ける。いつも父さんは馬車で王都へ行ってるらしい。でも何をしてるのかは分からない。



「僕も連れてって下さい!」

「うむ……アレスには少しまだ早いな」



頭を撫でられるのは嬉しいが、返事は良くないものだった。



「あら、もう出発?」

「カトレア…」



そこへ母さんが登場。洗い物でもしてたのか、タオルで手を拭いている。



「アレスも行きたいと言い出してな…」

「まぁ、アレスも?」

「行きたいです!」

「……良いんじゃないかしら、アナタ」



!!!?

まさか母さんの許しが出るとは思わなかった。それは父さんも同じらしく、驚きの表情だ。



「カトレア…分かっているのか?」

「……えぇ。でも、アレスは私達の子だもの。いずれこんな日が来ると覚悟していたけれど、まさか六歳でね」



母さん達が何の話しをしてるのか分からないが、これはOKって事か?



「…ハァ……分かった。ただし、アレス。私の側を離れるな」

「は、はいっ!」



よしっ。

よく分からないが母さんのお陰で行ける事になったし、後で肩もみぐらいしてあげよう。



家を出ると馬車が止まっていた。日本でもよく見かける茶色の馬に少し立派な客室が付いている。馬に乗っていた人が馬から降りて近付いて来た。



「準備は整っております。ジェイド様」

「うむ」



父さんと少し言葉を交わすと今度は俺の方に視線を向ける。



「初めまして、私はジェイド様の部下のランスです。よろしくお願いします。アレス様」

「はい!よろしくお願いします」



父さんの部下か。

ランスという人は騎士なのか、頑丈そうな鎧を身に纏っている。俺と父さんにお辞儀をすると再び馬にまたがった。



「アレス、行くぞ」

「は、はいっ」



こうして俺達はリュグネスを出発した。












「…父様、王都に行って何をするんですか?」



まだ詳しい事を聞いてない俺は向かいに座る父さんに聞いてみた。



「父さんが王国騎士だという事は知っているか?」

「はい!」

「うむ。王国騎士は街と王族を守る為、常に周りを見ていなくてはならない。その為にはギルドへ入って常に新しい情報を得なくてはならない」



ここでギルドが出てくるか…。

ギルドと言えば、冒険者が集う場所!! 楽しみだぜ!



「じゃあ、これからギルドに行くんですね!」

「うむ。なにか異常が無いか、話しを聞くんだ」



この世界に生まれてからまだ外に出てないが生まれた時、瞬時にこの世界の知識が頭に流れ込んできた。どうやら俺は頭が良いらしい。




馬車で走る事、数時間。

何やら外が賑やかになってきた。



「どうやら着いたようだな…」

「着いたんですかっ!?」



俺は慌てて窓から覗いてみる。すると華やかなドレスを着た女性や屋台を引くお爺さんなど、色々な人が行き来していた。馬車が止まり、ドアが開けられる。



「お待たせいたしました。どうぞ」



ドアを開けて貰って俺は外に出る。真っ先に目に入ったのはシンデレラ城のような立派な城。やっぱりこんな城を見ると異世界なんだなって思い知る…。城があるという事はここは城下町か。城への道には街並みがあり、店も数多い。



「ご苦労。ではアレス、行くぞ」

「は、はいっ」



ランスさんにお礼を言ってから父さんの後に続いた。街を歩くと色んな人に声を掛けられた。俺じゃなく、皆父さんにだ。やっぱり騎士の父さんはヒーローなんだな。

賑やかな人通りを進んで行くと父さんは急に立ち止まった。



「…ギルドはここだ」

「……胡蝶の舞(バタフリーダンス)!」



木造のギルドは酒場みたいだ。外に居るにも関わらず、賑やかな声が聞こえてくる。



「入るぞ」

「は、はいっ」



意を決して中に入る。カランカランとベルの音と同時に中に居た人達がこっちを見た。さっきまで聞こえてた賑やかさは消え、静寂が流れる。その静寂を破ったのは…。



「おや、ジェイドじゃないかい」

「…あぁ、居たのか。マグダレン…」

「居るのは当たり前だろう……それより、後ろに居るのはアンタの子かい?」



マグダレンという女性は見た事ないぐらい綺麗だった。というかエロい!胸元がかなり開いた大胆なドレスに金髪の髪にウェーブが掛かり、気品もある。父さんの知り合いみたいだ。



「あぁ。会うのは初めてだったな…紹介しよう、息子のアレスだ」

「初めまして、アレスです」

「あぁ。元気いいねぇ……アタシはマグダレン。ここのマスターやってる者さ」



女マスターか…。

カッコイイものだな。



「アレス。私は仕事をするから大人しく座って居なさい」

「はい!」



俺が返事をすると父さんは微笑んで頭を撫でてくれた。向かった先はマグダレンさんの所だ。仕事って言ってたし、聞き込みかな?

それにしてもただ待ってるだけじゃつまらないな…。いつの間にかギルドは賑やかさを取り戻している。さっきからベルが仕切りに鳴る。ギルドの人達が仕事に向かうんだ。ギルドの中は広く、クエストを貼り付ける掲示板に受け付けカウンター。さらにバーみたいな所もある。



「………いいなぁ」

「おや、興味あるのかい?」



独り言だと思ってたのに聞かれてしまった。急いで振り返るとさっきまで父さんと話してた筈のマグダレンさんが…。



「っ! は、はい…」

「フフフ。やっぱり血は争えないねぇ……アンタの父さんと母さんはね、このギルドに居たんだよ……ま、昔の話しさ。ただ待ってるだけじゃ辛いだろ? サービスしとくよ」



マグダレンさんはそう言って木のコップを目の前に置いた。オレンジの匂いがする…。



「あ、ありがとうございます。マグダレンさん!」

「お勘定は出世払いにしとくよ。アハハハ」



あれ、サービスじゃなかったのか…。それにしても父さんも母さんもこのギルドに居たんだな………ん?

自然と目に入ったのは何かと怪しい人物。薄い小汚いフードを身にまとった少女だ。キョロキョロと怪しい程、周りを警戒している。



「おや! ラファ、来てたのかい」

「!!?」



マグダレンさんの声にビクッとする少女。しかし、逃げはせずゆっくりとこちらへやって来る。やっと近くまで来たが肝心の顔が見えない。フードを深くまで被せ、さらに手で隠してるからだ。



「ま、マグダレンさんっ! そっ、その。な、名前は…」

「あぁ…そうだったね。今のは忘れてくれ、アレス」

「は、はぁ」



なんだ?

ラファって名前じゃなかったのか…。



「ララ、この子はジェイドの息子のアレス。アレス、こちらはこのギルドのララだよ」

「初めまして」

「は、初め…まして…」

「こら、ララ。自己紹介する時は顔を見せなさい!」

「…うぅ…」



マグダレンさんに言われて少女はフードを取った。その瞬間、ふわっといい香りがした。ララと名乗る少女は可愛い顔立ちをしている。薄いピンク色の髪はまだ伸ばしてる最中なのか肩程しかない。頬もほんのり赤く、瞳は大きい。歳は同じぐらいだろうか…。



「………」

「フフフ。ララも六歳でアレスと同じだし、せっかくだからララ。街を案内してあげなさいな」

「えぇっ!?」

「マグダレンさん。でも父様がここで待てって…」

「大丈夫よ。アタシから伝えておくから」

「ま、マグダレンさん!私無理ですよ」

「……ララ。いつまでもそんなんじゃ、立派になれないよ……お姉さんみたくなりたいんでしょ?」

「……はい…」



……なんだこの流れ。

まさか俺、この子と街に行く感じなのか!?





少し時間が開いてしまいました。

すいません<(_ _)>


そして、呼んで下さってありがとうございました!!



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