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第五章
<○月×日 曇り>
これで四人が死んだ。
人間が四人も。
いや、正確に言えば五人が死んだ。
……五人?
あと、一人は誰だっただろうか?
分からない……。
僕は何か重要なことを忘れている気がする。
ああ、でももうそんなことはどうでもいい。
家に帰りたい。
帰って、お母さんの美味しいご飯が食べたい。
今頃、お母さんはどうしているだろうか。
家に帰っていない僕を、心配してはいないだろうか。
記憶がどんどん疎らになっていく。
ここにやって来てから。
自分を取り巻く全てから現実味が失われていく。
僕ももう限界なのかもしれない。
今ここで僕が目の前に現れたら。
あいつは驚くだろうか。
謝れば許してくれるだろうか…………止めよう。
もう、何もかもが手遅れだ。
僕はポケットから携帯を取り出す。
今の僕にできることは加藤にメールを打つことだけだった。