7 日常パート 相楽とリュウヤのドライブ
相楽曹長は、自動車の、ハンドルを片手で操りながらもう片方の手で、助手席に座った男の格好をした女――リュウヤのタバコを摘み、取り上げる。
「車内は禁煙ですので。それに未成年の喫煙は見逃せません」
「なら、問題はない。これはココアシガレット――駄菓子だ」
可笑しくて仕方がないのか、リュウヤは笑いを噛み殺すも殺しきれずに笑ってしまう。
くくっとようやく笑動を飲み込んだリュウヤが相楽の口調を真似て言葉を繋ぐ。
「それに私たちは皆、元服を終えた成人です」
だから、千秋たちを子供扱いしないでくれ。動機はなんであれ、大人になるには相応の努力と覚悟がいるんだ。彼らの努力を尊重してくれ。とガソリン車のエンジン音にかき消される程の小声で続けた。
「失礼しました。てっきり16歳前後かと。魔法使いの方々は若く見えるのですね」
そうか、みんな20歳を超えた大人だったのか。子どもを前線に出すのは避けられた様だと安堵した相楽の気持ちに被せてリュウヤの言の葉が生える。
「その通り。璃緒も千秋も14才だよ。オレが最年長で19^3だ。確か、元服したのは璃緒が一番最初だったかな。あいつ、9歳で元服最年少記録を叩きだしてたはずだ」
速攻で否定されてしまった。驚きのあまり思わず、アクセルを強く踏んでしまう。
「安全運転で頼むよ。運転手くん」
「申し訳ありません」
やっぱり子どもではないか。そもそも、元服の最年少記録ってなんだ?!
「失礼しました。聞いてもよろしいのですか?」
「奇遇だな。オレも聞きたいことがあるんだ――」
――さっきから追いかけてきているドローンは。何だ?
相楽は瞬時に思考を切り替える。
バックミラーでドローンを確認。
ならず。
両サイドのミラーも同じく。
「今、ドローンがどこを飛行しているかわかりますか?」
自分の位置からは視認できないが、彼がいうのだらから間違いないと信じられる。
「ほう。この車を中心にして7時の方向だが、魔法使いの――オレの言葉を信じていいのか?」
返答は配慮を重ねて言葉を選ぶべきだとは思う。が、今は有事であるため端的に述べる。
「信じるに足るほど情報はありません。がそれと同じくらい疑うにも足りません。不確定なら、いると思って動いた方が損害は少ない。それに私はあなたを信じたい」
「言うねえ! なら信用を勝ち取るためにお兄さんがんばちゃおうかな」
リュウヤの跳ね上がるテンション。それは幻素を励起させる呼び水。
「指示を願う」
「なら、気づかないふりをしたまま、樹木の多い道へ行ってくれ。撃ち落とす」
「了解ッ」
速度は変えず、道路交通法遵守で郊外の山道へと進路を変える。




